脱炭素先行地域に熊本県「RE100産業エリアの創造」など12件選定

環境省は2023年11月、熊本県の「RE100産業エリアの創造」など12件を「脱炭素先行地域」として選んだ。2025年度までに少なくとも100カ所の先行地域を指定して、集中的に脱炭素を進める政策に基づくものだ。選定された事業には最大50億円の支援金を交付する。62自治体が54件の計画を提出した。採択倍率は4.5倍で過去最高。今回が4回目で合計74地域が選定されたことになる。

脱炭素先行地域。赤字が今回の選定。 (出所)環境省

熊本県:空港や工業団地、ダム湖で発電

熊本県の取り組みは、世界的半導体メーカーである台湾積体電路製造(TSMC)と、その関連企業の進出を想定したものだ。熊本空港や隣接する産業集積拠点に再生可能エネルギー発電設備を導入して、RE100(再エネ利用100%)を目指す企業の誘致を加速させる。

オフサイト再エネ電源として、太陽光発電8MW、空港に近い深迫ダムでの水上太陽光発電7.7MW、木質バイオマス発電2MWを導入。民間施設にはオンサイトPPA(電力購入計画)による太陽光発電0.6MWと蓄電池などを導入する。運輸部門の脱炭素化として、空港を起点とした観光用レンタカー60台のEV化も計画した。

 

苫小牧市:CCSやグリーン水素製造・利用、SAF製造も

北海道苫小牧市は、「ダブルポートシティ苫小牧の次世代エネルギー供給拠点形成への挑戦」をテーマに掲げた。電力は、西部工業基地の産業施設でのPPAによる太陽光発電15.145MWや、沼ノ端クリーンセンターの廃棄物発電2MWなど。グリーン水素の製造から消費に至るサプライチェーン構築も計画に組み入れた。

港湾・空港のダブルポートを有する地域特性を生かし、2030年までに最大150万t/年のCO2を貯留するCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)事業を展開する。さらに、再エネ由来のグリーン水素とCO2からSAF(持続可能な航空燃料:Sustainable aviation fuel)などの合成燃料を製造して、次世代エネルギー供給拠点の形成を目指す。

 

事業継続性や投資回収を重視

第4回の選考では、事業の継続性や投資回収について従前よりも具体的な説明を求めた。評価委員会は、選ばれた12件について「先進性・モデル性の観点で際立った特徴がある」とコメント。選ばれなかった提案については、「先進性・モデル性が認められたものの、計画の熟度が低く、実現可能性に疑義のあるものが少なくなかった」と評価した。

選ばれなかった計画の中には、配電事業ライセンス取得やペロブスカイト太陽電池導入などの提案もあった。しかし、商用化や社会実装の観点から、現時点での評価は難しいと判断した。

第5回の募集では、提案の事業性をいっそう重視して評価する方針だ。応募する自治体に対しては、コンサルティング会社に委ねるのではなく、自らの計画として主体的に取り組む姿勢を求めている。

脱炭素先行地域に選ばれた12事業 (出所)環境省の資料を基に作成

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