脱炭素先行16地域を選定、会津若松市、甲斐市、生駒市など

環境省は2023年4月、自治体から寄せられた58件の計画提案書の中から16件を「脱炭素先行地域」として選定した。2025年度までに少なくとも100カ所の先行地域を選定して、集中的に脱炭素を進める政策に基づくものだ。3回目となる今回の公募では、民間事業者などとの共同提案が必須とされた。これまでに合計62地域が選定されたことになる。

再生可能エネルギ-発電に蓄電池を組み合わせ、マイクログリッド(小規模電力網)を構築する提案が多い。脱炭素事業に地域の農業・漁業・林業の振興を組み合わせたユニークな事例もある。

脱炭素先行地域に選定された16カ所 (出所)環境省の資料を基に作成

福島県会津若松市は「デジタル×脱炭素」をテーマとして、電力の需給データをAIで分析し、蓄電池の充放電によってエリア間で需給調整を効率的に行う体制を構築する。併せて、デジタル地域通貨を活用して需要家の行動変容を促す。

山梨県甲斐市は、ワイナリーゾーン、公園ゾーン、バイオマス発電所を建設するゼロカーボンモデル事業ゾーンの3ゾーンをつなぐ「ゼロカーボンロード」を設定。市庁舎などのZEB化(ゼロ・エネルギー・ビル化)を進めると共に、スマート街路灯を導入する。

奈良県生駒市は、複数の自治会を対象に公募し、住民説明会などを経て合意に至った地区を先行地域のエリアとして設定した。公平性の確保に加えて、需要家の合意形成の手法としても独自性があると評価された。

評価委員会は、民間事業者との共同提案が必須となったことで、提案の具体性や関係者との合意形成、事業性において熟度が高い計画が多くなったとみている。地域金融機関の参画で資金調達の確実性が増したと考えられる提案もあった。

第4回の募集は2023年8月に実施する予定だ。回を重ねるにつれて先行事例が増え、計画の熟度が高まっていることを考慮すると、今後の選好ではさらなる先進性やモデル性が求められることが予想される。

これまでに選定された「脱炭素先行地域」

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