日米の水素供給 2030年目標、日本334円/kgで300万t、米国1ドル/kgで1000万t

日米が2023年6月、水素に関する戦略を公表した。日本政府は再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議で、2017年の策定以来6年ぶりに水素基本戦略(アンモニア、合成燃料などの水素化合物を含む)の改定を了承した。主な数値目標は下記の通り。
  • 水素需要ポテンシャルの見通しから、新たに2040年の供給目標として年間1200万t(アンモニアを含む)を設定。これは、既に設定している2030年の300万t、2050年の2000万tの中間的な位置づけ。供給価格も、2030年に30円/Nm3(水素1kg=11.14Nm3で換算すると、334円/kgに相当)、2050年に20円/Nm3(223円/kgに相当)と目標設定している。
  • 2030年の国内外における日本企業関連の水電解装置の導入目標15GW(世界の導入見通しの約1割に相当)。
  • 低炭素水素を「水素1kgの製造におけるCO2換算排出量を3.4kg-CO2e/kg-H2以下」、低炭素アンモニアを「アンモニア1kgの製造におけるCO2換算排出量を0.84kg-CO2e/kg-NH3以下」と定義。
  • 水素・アンモニアサプライチェーンの早期構築を目指し、官民合わせて15年間で15兆円の投資計画。
また、需要側の対策として、発電、燃料、産業、民生の各分野における内容を示したほか、水素産業の重点化戦略を下記9分野について整理している。
  • 水素製造:水電解装置の装置コストと再エネ由来水素価格の低減など
  • 水素サプライチェーンの構築:液化水素、MCH(メチルシクロヘキサン)、アンモニアによる運搬形態をベースにした技術開発など
  • 脱炭素型発電:ガス火力への混焼率向上や専焼化など
  • 燃料電池:燃料電池ビジネスの産業化など
  • 脱炭素型鉄鋼:水素還元製鉄
  • 脱炭素型化学製品:ナフサ以外からの化学品、CO2を原料としたプラスチックなど
  • 水素燃料船:ゼロエミッション船の導入など
  • 燃料アンモニア:サプライチェーン構築、効率的なアンモニア合成技術など
  • カーボンリサイクル製品:合成メタン(e-methane)・合成燃料(e-fuel)・化学品、持続可能な航空燃料(SAF)、民生分野
一方、米国エネルギー省(DOE)は、米国家クリーン水素戦略ロードマップ(U.S. National Clean Hydrogen Strategy and Roadmap)を公表した。DOEは、クリーン水素を「1kg当たりのCO2換算排出量が2kg以下」と定義している。ロードマップにおける主な数値目標は下記の通り。
  • クリーン水素の供給量を、2030年までに年間1000万t、2040年までに年間2000万t、2050年までに年間5000万t。
  • 供給コストを(2021年からの)10年以内に80%削減し、1kg当たり1ドル(1ドル=140円換算で、12.6円/m3)に引き下げる。
  • 2021年11月の超党派インフラ法(BIL、インフラ投資・雇用法)の成立によって、DOEはクリーン水素向けの95億ドル(地域のクリーン水素ハブへの80億ドルなど)を含む620億ドルを確保。
  • 2022年8月にインフレ抑制法(IRA)が成立し、クリーン水素市場を後押しする製造税額控除(水素製造時のCO2換算排出量に応じて最大3ドル/kgの税額控除)など、追加政策とインセンティブを提供。
  • 2050年ネットゼロを実現するために必要な水素投資は、IRA期間を通じて2030年までに1050億~2350億ドル(14.7兆~32.9兆円)。BILによるクリーン水素ハブへの投資は初期投資を後押しするものの、依然として850億~2150億ドル(11.9兆~30.1兆円)のギャップ。コスト削減とIRA・BIL活動のリスク軽減によって投資を促進できる可能性。
米国に最大限の利益をもたらす効果的な脱炭素化ツールとしてクリーン水素が開発・利用されることを保証し、ロードマップを達成するために、3つの優先的重要戦略を掲げている。
  • 戦略的で影響力の大きい用途:特定の市場として、産業部門、大型輸送、クリーン送電網を実現するための長期エネルギー貯蔵など。
  • クリーン水素のコスト削減:2021年に開始されたHydrogen Energy Earthshot(Hydrogen Shot)で、イノベーションと規模の促進、民間部門の投資刺激、水素サプライチェーン全体の開発促進、クリーン水素のコスト削減(10年以内に1ドル/kgに引き下げる目標)を促す。
  • 地域ネットワークの重視:地域のクリーン水素ハブへの投資と拡張によって、優先度の高い水素ユーザーの近くで大規模な製造・重要インフラの共有、製造・流通・貯蔵の規模拡大、市場立ち上げの促進など。
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関連サイト
内閣官房のウェブサイト
米国エネルギー省のウェブサイト
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