人口10万人以上の「地域生活圏」構築で「シームレスな拠点連結型国土」へ

第三次国土形成計画(全国計画)が2023年7月、閣議決定された。本計画は、「時代の重大な岐路に立つ国土」として、人口減少の加速による地方の危機や巨大災害リスクの切迫、気候危機、国際情勢をはじめとした課題に対する危機感を共有し、総合的かつ長期的な国土づくりの方向性を定めるものだ。計画期間は、2050年、さらにその先の長期を見据えつつ、今後概ね10年としている。

本計画では、目指す国土の姿として「新時代に地域力をつなぐ国土」を掲げ、その実現に向けた国土構造の基本構想として「シームレスな拠点連結型国土」の構築を図る。

拠点連結型国土では、 中枢中核都市を核とした全国的回廊ネットワーク、三大都市圏を結ぶ日本中央回廊の広域的レベルと、地域コミュニティなどの日常的生活レベルの中間に位置する、デジタルとリアルが融合した「地域生活圏」の構想を打ち出している。

地域生活圏は、地方の中心都市を核とした市町村界にとらわれない「生活圏人口10万人程度以上」を一つの目安とする。デジタルの徹底活用によるリアルの地域空間の質的向上、デジタルインフラ・データ連携基盤・デジタル社会実装基盤、自動運転、ドローン物流、遠隔医療・教育などのデジタル技術サービスの実装の加速化を目指す。民の力の最大限活用、官民連携による地域経営主体の創出・拡大を挙げ、「ローカルマネジメント法人」の可能性にも触れている。

地域生活圏の規模を人口10万人程度以上としているのは、都市的機能の整備進展、圏域内に都市的機能をフルセットで整備する必要性の低下、デジタル技術の進展によるリアルに提供すべき都市的機能の減少、歴史・伝統・文化や自然環境・アイデンティティーの共有、行政コスト効率(人口10万~50万人の都市が効率的)などを背景としている。

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