フランスVINCIの2020年決算、空港会社の売上高が前年比62%減

売上高432.34億ユーロ(前年比10%減)、EBIT 28.59億ユーロ(同50%減)

フランスVINCIの2020年決算は、売上高が432.34億ユーロ(5兆5000億円、前年比10%減)、EBIT(利払い・税引き前利益)が28.59億ユーロ(同50.1%減)となった。

 

事業別では、コンセッション事業(子会社VINCI Autoroutes、VINCI Airportsほか)が、売上高58.39億ユーロ(前年比31.7%減)、EBIT 15.86億ユーロ(同60.2%減)。請負事業(子会社VINCI Energies、Eurovia、VINCI Construction)が、売上高368.78億ユーロ(同5.2%減)、EBIT 12.44億ユーロ(同24.8%減)。COVID-19の影響による交通量収入の減少に伴って、コンセッション事業が前年比で大幅な減収減益になった。

 

コンセッション事業では、道路運営会社VINCI Autoroutes(フランス国内で子会社群ASF、Cofiroute、Escota、Arcourが4443kmを運営)が、売上高46.13億ユーロ(前年比17.5%減)、EBIT 19.81億ユーロ(同33.2%減)。特に2020年の第2・4四半期(Q2・Q4)の2回のロックダウンによって、フランスや欧州域内の旅行制限に起因する交通量減少の影響を受けた。海外のPPPを担うVINCI HighwaysもCOVID-19の影響を受ける一方、2020年12月にはVINCI Highwaysを代表とするDIViaコンソーシアム(VINCI Highways、VINCI Concessions、Meridiam Investmentsが出資)がチェコ共和国のD4高速道路PPPの優先交渉者に選定され、2021年1月に約165億CZK(800億円)で契約した。設計・建設はVINCI子会社のEurovia、運営・維持管理はVINCI Highwaysが担う。

 

空港運営会社VINCI Airports(ロンドン・ガトウィック空港、リスボン空港、関西国際空港など、12カ国で45空港を運営)も世界中の航空会社の活動が停滞したため、売上高が前年比62.4%減の9.9億ユーロ、EBITが3.69億ユーロの損失となった。

 

■ VINCIの2020年決算

(出所)2020 full year results

 

道路交通量は前年比21%減、小型乗用車の落ち込み顕著

コンセッション事業を展開している道路と空港における2020年の交通量を概観する。VINCI Autoroutesの道路ネットワークの交通量は最初のロックダウンで急減後、夏季に2019年のレベル近くに回復したが、その後、10月末からフランスと欧州で導入された規制によって、交通量は再び低下。2020年通年にわたり、全車種で交通量が減少して合計では前年比21.4%減。経済活動の回復とEC(電子商取引)の伸長によって、大型車(HV)の交通量は堅調に推移し、第四四半期(Q4)の0.4%増を含めても通年で6.5%減にとどまった。小型乗用車(LV)の交通量は度々の旅行制限によって、Q4に26.4%減、通年で23.8%減となった

 

■ VINCI Autoroutesのネットワーク道路交通量の前年との比較

小型乗用車(LV)、大型車(HV)、合計(Total)の2019年交通量と増減の比較。大型車に比べて、小型乗用車の落ち込みが大きい (出所)2020 full year result

 

旅客数は前年比70%減、欧州・アジアで大幅減少

VINCI Airportsが運営(一部、管理)する空港の2020年の旅客数は7658万人と、2019年の2億5500万人から、前年比70%減となった。Covid-19による制限措置が最も厳しかった欧州とアジアに拠点を置くネットワーク空港の減少(約72%)は、 南北米の空港(約61%)よりも急激だった。サルバドール空港(ブラジル)、サンフォードオーランド(米国)、伊丹・神戸は2020年夏から国内旅行が一定程度、回復した。日本の旅客数は通年で前年比69.4%減。国内線は 政府の「Go To Travel」キャンペーンによって改善した。伊丹と神戸のQ4の旅客数の減少は44%にとどまった。国際線は日本への入国制限によって、年間を通じて非常に弱いままだった

 

欧州では、秋に施行された制限によって、旅客数の段階的な増加は縮小した。前例のない危機に直面して、各空港は地方自治体と迅速・緊密に協力して衛生・健康対策を実施。リヨン空港では、バイオメトリクスの利用によって完全に非接触の旅を提供するMONA(生体認証データとリレーションシップマーケティングを組み合わせて構築)を開始した。ポルトガルの旅客数は前年比69.6%減。英国では、検疫規制によって乗客数が急減(ロンドン・ガトウィックで78.2%、ベルファストで72.2%減)。11月初めからの封鎖によってQ4の旅客数は非常に弱いままだった。フランスの旅客数は68.2%減。 11月上旬から12月中旬にかけて2回目のロックダウンが行われたため、Q3の夏の需要は相殺、年末年始の休日には増加した。

 

■ 国別の空港旅客数

(出所)VINCI Airports – Traffic 2020

InfraBiz
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