「PPP/PFI推進アクションプラン」10年間で30兆円目標、脱炭素のPFI推進

内閣府は6月3日、「PPP/PFI推進アクションプラン(令和4年改定版)」を公表した。岸田文雄首相は同日開催した民間資金等活用事業推進会議で、PPP/PFI推進策の抜本強化を宣言。「PPP/PFIは新しい資本主義における新たな官民連携において柱となる重要な取り組みだ」と述べた。

アクションプランは、2022年度から5年間を重点実行期間と設定し、支援策を拡充して重点的に投入する。2031年度までの10年間の事業規模の目標を30兆円とした。このうちコンセッション事業が7兆円を占める。

事業規模は契約期間中の民間事業者の総収入の見通し。2013~2022年度のコンセッションの事業規模は目標7兆円に対し、実績12.1兆円。関西国際空港・大阪国際空港の約5兆円が含まれている。アクションプランは、これを特殊要因として留意したと記している。 (出所)内閣府の資料を基にインフラビジネスパートナーズが作成

 

デジタル技術の社会実装やカーボンニュートラルといった国の重要政策を実現する手段として、PPP/PFIを明確に位置づけた点も見どころだ。PPP/PFI導入時の再エネ設備活用を含め、国や自治体が所有する施設の脱炭素化で新しいモデルを形成していく。

コロナ禍の経験を踏まえ、官民のリスクを分担する手法も新たに検討する。想定収入と実収入にかい離があった場合に官民間で収支を調整するプロフィット・ロスシェアリングの導入、運営権対価の支払い方法の見直しなどを挙げた。

道路や学校などのキャッシュフローを生み出しにくいインフラへの導入を検討してきた指標連動方式(アベイラビリティ・ペイメント方式)は、具体的な案件の形成を進める。内閣府は2022年5月末、アクションプランの公表に先だって「指標連動方式に関する基本的考え方」を示した。

2027年度末が設置期限のPFI推進機構(民間資金等活用事業推進機構)は必要性について賛否両論があったが、存続させ、より積極的な役割を担わせる方針だ。法改正が必要なので、早期の法案提出を目指す。

 

コンセッションはスタジアム・アリーナやバスタに展開

岸田首相は2022年1月の国会施政方針演説で、「コンセッションの一層の活用」に言及した。これを受けてアクションプランは、コンセッション方式の質と量の両面からの活用促進をうたった。水道、下水道に関しては「人口減少社会の中で、増加する維持更新費等から、その持続可能性が課題となっている」として、活用推進が必要だと説明している。

新たな分野・領域・地域での取り組みも加速する。スタジアム・アリーナは、千葉マリンスタジアム、秋田県新体育館など、約20カ所の候補案件への導入を働きかける。2026年度までの5年間の具体化目標件数を10件とした。「バスタ」と呼ばれる交通ターミナル事業は6件の目標を掲げた。国営公園でも2件を具体化する。独立採算型が難しい施設にも「混合型」のコンセッションとして採用を促す。農業用水、地域交通、人工衛星、カーボンニュートラルなどの分野での活用も検討する。

(出所)内閣府の資料を基にインフラビジネスパートナーズが作成

 

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