内閣府は2025年6月、「PPP/PFI推進アクションプラン(令和7年改定版)」を公表した。PPP/PFI事業への民間事業者の参入を促進するためには一定の事業規模を確保することが望ましいとの観点から、分野横断型や広域型の案件形成を促す取り組みをいっそう強化する。PFIの手続きが煩雑という意見を踏まえて、検討開始から事業契約締結までの検討期間を短縮する方策も盛り込んだ。公募資料の削減など、官民双方の負担軽減に取り組む。
同時に決定した「多様なPPP/PFI手法導入を優先的に検討するための指針(令和7年改定版)」では、従来手法に優先してPPP/PFIの導入検討を求める対象自治体を、「人口10万人以上」から「人口5万人以上」に改めた。これによってPPP/PFIのすそ野の拡大を狙う。分野横断型・広域型を優先して検討することも追記した。
LABVをクローズアップ
アクションプランの主な改定事項は以下の通り。
地域課題の解決に資する官民連携策として、スモールコンセッションやLABV(Local Asset Backed Vehicle)を挙げた。LABVは、自治体が土地などの公有資産を現物出資し、民間事業者が資金出資して施設を整備する官民共同開発手法だ。遊休地の活用につなげる。
防災と地域活性化への配慮から、フェーズフリー(Phase Free)の視点も取り入れた。平常時と災害時のフェーズを分けず、商品やサービスなどが災害時にも役立つように設計する考え方で、インフラ分野では防災備蓄倉庫や避難場所を兼ねた公共施設などが想定される。
事業規模や目標件数は変更なし
事業規模の目標は、これまで通り22年度から31年度までの10年間で30兆円とした。事業化の目標件数にも変更はない(下表)。空港は、原則として全ての空港へのコンセッション方式の導入を促進する方針を維持。水道と下水道は、ウォーターPPP案件を31年度までにそれぞれ100件実現する計画だ。
具体的な取り組みとして、多数の小型人工衛星を一体的に運用する衛星コンステレーション構築のPFI事業や、国土交通省が直轄する全国14駐車場の維持管理・運営へのコンセッション導入を例示した。治水機能と水力発電を両立する「ハイブリットダム」は、湯西川タム、尾原ダム、野村ダムで25年度中に事業者を特定する。
一方で、進展が見られない取り組みもある。愛知県道路公社が先例となった有料道路のコンセッション事業について、アクションプランは10年前から「横展開を図る」と記しているが、後に続く案件が出ていない。