道路施設の集約・撤去・機能縮小が加速へ、地方自治体の8割が検討

国土交通省は2023年8月、道路施設(橋梁、トンネル、附属物等)の2022年度までの点検・診断結果、措置状況等をまとめた「道路メンテナンス年報」を発行した。2014年度に始まった法定点検は5年を1サイクルに、1巡目が2014~18年度、2巡目が2019~23年度。従って、今回の内容は、2巡目の4年目までの結果となる。主なポイントは下記の通り。

  • 全道路管理者を対象とした2022年度時点の点検・診断結果:判定区分Ⅲ(早期措置段階)・Ⅳ(緊急措置段階)の割合は、橋梁:8%、トンネル:32%、道路附属物等(シェッド、大型カルバート、横断歩道橋、門型標識等):13%。全体として年々、漸減傾向にある。
  • 橋梁の修繕等の実施状況:1巡目の点検で、判定区分Ⅲ・Ⅳの橋梁における修繕等の実施状況は、地方自治体で着手率75%/完了率56%と、まだ低水準で自治体によって進捗に差がある。同じく、国土交通省は着手率99%/完了率70%、高速道路会社は着手率95%/完了率75%。
  • 道路施設の集約・撤去・機能縮小の検討:検討実施の地方自治体(全1788団体)は毎年増加しており、2022年度は、前年度の35%から大幅に増加して80%になった。国交省は、道路橋の集約・撤去の手法を、単純撤去、撤去+迂回路整備、ダウンサイジング(車道橋から人道橋への機能縮小等:既設縮小化、新設縮小化)、複数橋梁の集約――に分類している。

厳しい財政状況の下、道路橋の老朽化対策の一つとして、地域の実情や利用状況に応じて集約・撤去を選択肢とすることは、長期的な視点で見た際に有効な手段となりうる。第5次社会資本整備重点計画および国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)でも、施設の集約・撤去の推進を方針として掲げており、2025年度までに施設の集約・撤去を検討した地方自治体を100%にすることを目標としている。

今後、人や車両の移動に対する物理的な制約(施設劣化による通行止めや撤去)を、空飛ぶクルマやドローン、行政サービスや教育・診療のオンライン化等のデジタル技術・サービスで補うことが可能になっていくと、老朽化施設が増えるに伴って、集約・撤去・機能縮小する施設が一段と増加していくことが予想される。

InfraBiz
関連サイト
国土交通省のウェブサイト
タイトルとURLをコピーしました