PPP/PFIの抜本的拡充を提言、経済財政諮問会議で有識者グループ

経済財政政策の重要事項を審議する経済財政諮問会議が4月27日に開かれ、民間議員を務める有識者グループが新エネ投資・省エネ投資の必要性やPPP/PFIの抜本的拡充について提言した。以下に、インフラ投資に関連した主な提言を紹介する。

 

収益拡大と所得流出の抑制に向けて

  • エネルギー価格の高騰は当分の間続く可能性があり、安全性確保を大前提とした早期の原発再稼働、脱炭素を契機とした新エネ投資・省エネ投資等により、所得が海外に流出せず資金が国内で投資され、輸出増にもつながる仕組みに転換していくべき 。
  • 脱炭素技術の強化に向け、多年度の投資に係る税制・ 予算を通じた国のコミットメントを見える化し、民間投資を喚起すべき。併せて、サステナブルファイナンス市場を早急に拡大すべき。

 

対日直接投資やサプライチェーンの再構築を契機とした国内民間投資の拡大

  • 健康医療、脱炭素など、今後、新市場として成長が見込まれ、グローバルな課題解決にも資する分野については、対日直接投資の重点分野に位置付け、海外との連携を優先的に進めるため、関係省庁によるプッシュ型の支援(コンシェルジュ方式による手続の補助等)を検討すべき。

 

イノベーションや無形資本価値の拡大

  • 文化芸術活動の多くが公的支援に支えられてきたが、今後は、寄附や民間資金の活用・拡大が課題。寄附拡大に伴って財政支援を削減されないインセンティブを講じた上でクラウドファンディングや企業版ふるさと納税の活用促進、スタジアムアリーナや国公立の博物館・美術館などへのPPP/PFIの活用等を通じた付加価値拡大を促すべき。

 

社会資本整備への民間事業者の知恵と資金の最大限活用(PPP/PFIの抜本的拡充)

  • 文教施設や、衛星、地方交通など今後官民連携の手法の拡大が期待される分野で、これまで導入が遅れてきた理由を洗い出し、それに対する適切な対処を行って具体的な案件形成を進め、新分野・領域への拡大と新たなモデル形成を推進すべき。
  • 先行事例から高水準のVFM(バリュー・フォー・マネー)が見込まれる施設や水道などを横展開の重点分野に位置付け、全国的な横展開を推進すべき。
  • 民間リスクへの適切な対応と官民連携支援の強化に向け、次期計画期間中に、道路等収益の上がりにくいインフラの大量老朽化へのPPP/PFI導入の仕組みを推進すべき。また、コロナ禍における空港コンセッションの経験等を踏まえ、官民のリスク負担の在り方を見直し、適切に措置を講じていくべき。

 

上記の「道路等収益の上がりにくいインフラの大量老朽化へのPPP/PFI導入の仕組み」は、内閣府から基本的考え方が示されたばかりの「指標連動方式(アベイラビリティ・ペイメント方式)」を想定している。

牧島かれんデジタル大臣は「PPP/PFIの推進」と題した資料を提出。「デジタル田園都市国家構想」の推進力としてのPPP/PFI活用を掲げた。5月に出るPPP/PFI推進アクションプランでは、次の10年間の目標を設定。当初5年間を重点実行期間とする方針だ。インフラ維持管理における指標連動方式の活用も例示した。

政府は会議での議論を踏まえて、夏までに「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を打ち出す。

InfraBiz
関連記事
指標連動方式(アベイラビリティ・ペイメント)ガイドライン案、内閣府PFI推進委員会
関連サイト
内閣府、経済財政諮問会議のウェブサイト
タイトルとURLをコピーしました