東京証券取引所に上場しているインフラファンドは5銘柄あり、投資口は1口当たり10万円前後で取引されている。6%前後と比較的高い分配金利回りが特徴だ。ファンドの投資対象は現状、FIT(固定価格買取制度)に基づく再生可能エネルギー発電設備で、ほとんどが太陽光発電である。主な収入源は発電設備を賃借する発電事業者からの賃料であり、賃料の原資が売電収入だ。上場インフラファンドは、収益の安定性を確保するため、原則として稼働後1年以上が経過した施設を投資対象としている。不動産のようにテナントが急に退去するようなことはなく、収益の予想と実績のブレは小さいと評価されてきた。
一方で、上場インフラファンド特有のリスクもある。似た仕組みを持つJ-REIT(不動産投資信託)は、導管性と呼ばれる税制上の優遇措置が恒久的であるのに対し、上場インフラファンドは20年間に限定されている。FITにも期限がある。ファンドが保有する太陽光発電の多くは20年間だ。
出力制御で打撃
直近の決算では、営業収益、純利益とも、全銘柄が予想を下回った。要因として、電力の需給バランスを保つために発電を停止する出力制御の影響が大きい。カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人は発電所の63%が九州地方にある。九州電力管内では、同投資法人の発電所に影響する出力制御は、2023年6月期(6カ月間)に93日、691回を数え、約8億5700万円の逸失賃料が発生した。好天による増収で、ある程度はカバーされたが、純利益は期初予想比87%だ。
出力制御で約1億30000億円の減収となったのはジャパン・インフラファンド投資法人だ。2023年5月期(6カ月間)の純利益は予想比92%。東京インフラ・エネルギー投資法人の2023年6月期(6カ月間)は、純利益が予想比80%にとどまった。やはり出力制御の急拡大がのしかかった。九州の3発電所の発電実績(実績発電量/予想発電量)は、いずれも80%を下回っている。同投資法人は減益により、当初、3014円を予定していた1口当たり分配金を2800円に引き下げた。
今後はどうなるのだろうか。カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人は、国の委員会が2023年内に出力制御対策をまとめる方針を打ち出したことを受けて、来年度以降は出力制御による影響が緩和するとの見通しを示す。東京インフラ・エネルギー投資法人も、政府の出力制御対策パッケージが浸透するという前提で、2024年12月期は通常通りの業績を予想した。
上場インフラファンドの動向に関する詳しい解説は、月次レポート「インフラ・グリーン・デジタル投資動向」に掲載します。