上場インフラファンド、繰り返される電気ケーブル盗難

「保有する鉾田太陽光発電所(茨城県鉾田市所在、パネル出力:24,195.62kW)において、今月、ケーブル盗難事故が発生しており、現時点において5,782kW相当のパネル(発電所全体の23.9%)が不稼働となっております」

上場インフラファンド最大手のエネクス・インフラ投資法人は2023年8月22日、このようなプレスリリースをサイトに掲げた。警察に巡回警備強化を申し入れたほか、応急措置として相当数の警備用カメラを設置したという。

太陽光発電所で深刻な問題となっているのが、電気ケーブルの相次ぐ盗難被害だ。上場インフラファンドでは、この5年間に20件ほどの盗難報告があった。銅をはじめとする金属買取価格の高騰が、盗難事件頻発の背景にある。ケーブルが切断されると発電がストップし、ファンドの収入減を招く。設備の復旧や警備の強化などにも想定外の費用を要する。

東京インフラ・エネルギー投資法人は2023年7月、TI矢吹太陽光発電所(福島県県矢吹町、12.994MW)で4回目の盗難被害があったと公表した。同投資法人は2021年に複数の発電所で盗難被害が発生したことを受けて、対策強化を打ち出した。にもかかわらず再発が防げない。今回のケースでは、「3回目の盗難被害発生後、直ちに夜間の常駐警備要員の増員等により警備レベルを更に引き上げ、追加被害防止策を講じていた最中、新たな盗難被害が発生した」と報告している。

この盗難事件による2023年6月期営業収益への影響は軽微だが、2023年12月期に復旧工事費用や警備費用などを見込むこともあり、1口当たり予想分配金を3010円から2800円に下方修正した。

8月28日には、同投資法人のTI牛久太陽光発電所(茨城県牛久市、2.284MW)でも再びケーブルの盗難被害が発生した。ここは、2021年にケーブルが盗まれ、防犯対策を強化した発電所だった。頻発する事件は、従来の対策では盗難が防げないことを物語る。情報開示が徹底した上場インフラファンドなので目立つが、太陽光発電事業者に共通した問題だ。

 

上場インフラファンドの動向に関する詳しい解説は、月次レポート「インフラ・グリーン・デジタル投資動向」に掲載します。

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