ENEOSが、次世代型エネルギー供給・地域サービス事業のプラットフォーム構築を推進している(図1)。全国のサービスステーション(SS)で、モビリティと生活関連のサービス提供とともに、燃料油に加えて電気・ガス・水素などの次世代型エネルギーの供給を目指す。その一環として、SSを中心とした電気自動車(EV)充電ネットワークを拡充するために、EV関連事業を強化している。
図1 ENEOSが目指す次世代型エネルギー供給・地域サービス供給プラットフォーム
ENEOSは、NECが運営するEV充電設備を用いたEV充電サービスの事業譲渡契約を同社と締結し、EV充電器約4600基(ほとんどが普通充電器)の運営を承継した。ENEOSは、EV充電器約6100基の運営・管理とシステム運用を提供するNECとの間で、EV充電ネットワークの拡充と関連サービスの創出に関して協業検討を進めてきた。今後、EV充電器の運営・管理をENEOSが実施し、システム運用はNECが引き続き提供する。さらに、充電器の残り約1500基の運営承継と新サービスの創出に向けて、協議を継続する。
ENEOSは、EV急速充電器の設置計画(普通充電器の設置数計画は検討中)として、2025年度までに1000基以上、2030年度までに数千~1万基の目標を持つ。政府は、2035年までに新車販売における電動車(EVを含む)比率を100%とする方針を立てて、2030年までにEV急速充電器3万基、EV普通充電器12万基の設置を目標に掲げている。計画通りに設置が進むと、2030年にENEOSのEV急速充電器が、最大で国内全体の3分の1を占めることになる。
一方、ENEOSは、Dr. Drive横浜港北インタートラックステーション(TS)で、太陽光発電と蓄電池を活用した実質再エネ100%電力によるEV向け高出力充電器の実証も開始した。横浜港北インターTSでは、太陽光発電と蓄電池から供給された電気に加え、不足分については外部から供給された実質再エネ100%電力を使用し、2台同時充電可能な90kW高出力充電器を用いてEV充電を実現する(図2)。太陽光発電と蓄電池の導入効果検証、EV充電における再エネ100%電力のニーズ調査、高出力充電器の利用状況検証を踏まえて、最適な設置形態によるEV充電ネットワークの拡充を目指す。
図2 EV向け高出力充電器の実証