海外インフラ主要企業の最新の業績(2024年決算)や投資状況を、コンセッション事業を有する総合インフラサービス事業者、再生可能エネルギー事業を中核に含むグリーン/エネルギー事業者、通信基地局やデータセンターを専業とするデジタルインフラ事業者に分類して、インフラ投資ビジネス調査レポート「海外インフラ企業・機関の最新動向(2025年版)」に収載した。
全体トレンドとして、世界的なインフレ(物価上昇)、金利高、サプライチェーンの逼迫、社会情勢や気象変動に伴う需給バランスが、各社の業績や開発投資戦略に影響を与えた。
事業者別では、総合インフラサービス事業者の増収増益、グリーン/エネルギー事業者の減収減益が目立つ(下表参照)。
総合インフラサービス事業者では、コロナパンデミック前の水準を上回る需要増、利用料金への物価上昇分の転嫁を取り込んだコンセッション事業の増収幅が大きい。フランスVINCIは増収増益で過去最高の売上高・利益を更新。売上高は円換算で11兆円を超えた。VINCIのほか、フランスBouygues、Veolia Environnementは、数年前に買収した企業の収益貢献が軌道に乗っている。スペインFerrovialは、インフレ率を上回るトラフィック・パフォーマンスを発揮した米国有料道路事業の恩恵を受けて好業績。英国の空港事業からは撤退した。イタリアMundysが50%、スペインACSが30%、ドイツHOCHTIEF(ACSの子会社)が20%を出資するスペイン道路運営会社Abertisは増収増益で各社に利益貢献した。
ここで取り上げたグリーン/エネルギー事業者5社は、エネルギー価格の下落などの要因で減収となった。特に、開発投資が大きい再エネ関連事業ではインフレ(物価上昇)、金利高、サプライチェーンの影響が顕著であった。デンマークØrstedは2年連続して米国の洋上風力事業で大幅減損を計上。前年の赤字から増益になったが、黒字幅はごく僅か。スペインIberdrolaは増益を確保。秋田県沖で洋上風力事業を受注した。ドイツRWEは減収減益で、洋上風力事業への投資を見直した。日本では新潟県沖で洋上風力事業を受注済み。英国SSEも減収減益だが、再エネ子会社は増益。米国NextEra Energyは再エネ子会社の大幅な減収減益が響いて苦戦した。
デジタルインフラ事業者では、生成AIやクラウド移行の需要増で、データセンターサービス需要は堅調だったものの、市場競争激化や資本支出の増大の影響で、データセンター専業の米国Equinix、Digital Realtyとも減益となった。グローバルに事業展開する両社は、日本では東京圏と大阪圏で複数のデータセンターを運営している。
海外インフラ企業2024年決算状況

企業名の青色:総合インフラサービス事業者、緑色:グリーン/エネルギー事業者、橙色:デジタルインフラ事業者。売上高は2024年12月期(SSEのみ2025年3月期)。参考までに、12月30日時点の為替レートは、1€=165円、 1£=197円、 1DKK=22円、1US$=157円、 1A$=98円 (出所)各社の決算資料、ウェブサイト情報を基に作成
インフラ投資ビジネス調査レポート「海外インフラ企業・機関の最新動向(2025年版)」(編著者・発行:インフラビジネスパートナーズ、発行日:2025年6月6日、仕様:パワーポイント(PowerPoint)PDF、34ページ)には、上記17社に加えて、資産運用会社の豪州Macquarie Asset Management、米国Brookfield Asset Management、KKR、Global Infrastructure Partners、年金基金のカナダCPPIB、CDPQ、OMERSの業績・投資取引状況も含まれています。
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