水素関連の実証研究に3800億円、グリーンイノベーション基金の支援

新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)は2021年8月、総額2兆円のグリーンイノベーション基金の第一号案件として、水素に関する11テーマの実証研究事業を選定した(下記図表)。本事業を通じて、水素サプライチェーンの構築を見通す技術の確立を目指すほか、余剰の再生可能エネルギーの電力を水素に変え、熱需要の脱炭素化や基礎化学品の製造などで活用するPower to X(再生可能エネルギー電力による電気分解で生成するグリーンな燃料。代表例として水素)の実現を目指す。

11テーマの内容は、「大規模水素サプライチェーンの構築プロジェクト」と「再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造プロジェクト」に大別される。主な内容は下記の通りだ。

<大規模水素サプライチェーンの構築プロジェクト>

液化水素およびメチルシクロヘキサン(MCH)による大規模水素サプライチェーンの実証研究や液化水素関連機器の評価基盤の整備、直接MCH電解合成などの革新的技術開発を通して、水素供給コストを2030年に30円/Nm3(船上引き渡しコスト)、2050年に20円/Nm3(同)以下まで低減させるための技術確立を目指す。また、供給側の取り組みと同時に水素ガスタービン発電技術(混焼、専焼)を実機によって実証することで、基盤技術の確立を目指す。

<再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造プロジェクト>

余剰の再生可能エネルギーを活用した国内水素製造基盤の確立、先行する海外市場獲得を目標に、アルカリ型および固体高分子膜(PEM)型水電解装置の大型化やモジュール化、優れた要素技術の実装、水電解装置の性能評価技術を確立し、水電解装置コストの削減(現在の最大6分の1程度)を目指す。

11テーマ中、支援額が最も大きいのは、水素供給コストを2030年に30円/Nm3(船上引き渡しコスト)まで低減させることを数値目標とする「液化水素サプライチェーンの大規模実証」(日本水素エネルギー、ENEOS、岩谷産業)と「革新的液化技術開発」(川崎重工業)を併せた事業規模3000億円に対する2200億円。全11テーマ合計の事業規模は5360億円、支援規模は3840億円となっている。基金の事業期間が最長10年(2021~2030年度)であるため、実証研究の事業期間も最長10年。提案実施者には、日本を代表する水素関連企業や電力会社が名を連ねている。

図表■グリーンイノベーション基金が支援する水素関連実証研究事業

(出所)NEDOのウェブサイトを基に作成

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