「PPP/PFI推進アクションプラン」こう読む(1)公共施設の非保有促進

内閣府は6月18日、「PPP/PFI推進アクションプラン(令和3年改定版)」を公表した。アクションプランは、PPP/PFIをさらに拡大していくための施策の集大成。主要部分は、政府が閣議決定した「成長戦略」にも反映されている。InfraBiz的視点で、いくつかの施策を紹介する(以下の青字部分はアクションプランや成長戦略からの抜粋)。

 

人口10万~20万人の自治体がターゲット

<人口10万人以上20万人未満の地方公共団体については、令和5年度までに優先的検討規程が策定されるよう促すとともに、人口20万人未満の地方公共団体への導入が図られるよう、優先的検討規程の運用を支援する事業等を実施する。特に、10万人未満の地方公共団体については、先進的な取組を行う同規模の地方公共団体の事例の紹介や、実態に合わせた優先的検討規程の策定・運用の手引きを作成する等、優先的検討導入の環境整備を行う>

<人口10万人以上の地方公共団体における優先的検討規程の策定を促進することに伴い、優先的検討規程に基づくPPP/PFI事業の検討を実施した団体数について令和6年度までに334団体とすることを目標とする>

<地方公共団体がPPP/PFI導入検討に際し実施する導入可能性調査等の調査費用につき、人口20万人未満の地方公共団体への支援を積極的に行う>

PPP/PFI事業を優先的に検討する自治体の対象を、「人口20万以上」から「人口10万以上」に見直した。これに伴い、検討自治体数の目標を、2024年度末までに334に上方修正した。検討の母集団を増やして、PPP/PFIの案件拡大につなげようという戦略である。ただし、規模の小さな自治体はPPP/PFIのノウハウが乏しく、体制も整っていないため、内閣府が中心となって積極的に支援していく。

優先的検討規程に基づき検討を実施した地方公共団体数 (出所)内閣府

 

財政負担の軽減・平準化に公共施設“非保有”

<国・地方公共団体等が公共サービスの提供にあたって自ら資産を保有するという従来の手法以外の柔軟な手法(公共施設の非保有手法)について、活用が有効と思われる条件や活用する際の留意事項等及び参考となる事例を取りまとめた基本的考え方を周知し、公共施設の非保有手法の活用促進を図る>

「公共施設の非保有手法」は、自治体などが施設を保有せずに公共サービスを提供するためのPPP/PFI手法のことだ。民間事業者の資金で整備した施設や、民間事業者が保有する施設を活用する。これによって自治体は、財政負担の軽減や平準化が実現できる。

公共施設の非保有手法の主な事業スキームとして、ファイナンス・リース方式、BOO(建設・管理・運営)方式、民間サービスによる代替方式、施設借り上げ方式などがある。内閣府がまとめた「公共施設の非保有手法に関する基本的な考え方」が、先行事例や仕組みを解説している。

公共施設の非保有手法の概要 (出所)内閣府

 

アベイラビリティ・ペイメント方式の案件形成へ環境整備

<利用料金の生じないインフラにおける指標連動方式について、先進的な国内の事例や海外の制度を調査・整理し、これらの結果に基づき、活用方法を記載した実用的なガイドラインを2021年度中を目途に策定する。また、当該方式の活用を検討する国の機関及び地方自治体を募り、2022年度までに10件以上の可能性調査を実施し、案件形成を進める>

上記はアクションプランではなく、成長戦略フォローアップの記述だ。指標連動方式とは、アベイラビリティ・ペイメント方式のことである。公共施設をサービス利用可能(available)な状態に維持することに対して、民間事業者に報酬を支払う仕組みだ。履行要件が満たされない場合は支払いが減額される。アクションプランでは、キャッシュフローを生み出しにくいインフラとして道路や学校を例示した。

この方式と、サービス購入型PFI方式におけるサービス購入支払いとの違いについては、InfraBizがこれまでに掲載した「アベイラビリティ・ペイメント方式の特徴と課題」や「サービス購入支払いとの比較によるアベイラビリティ・ペイメント」に整理しているので、ご覧いただきたい。(次回に続く)

 

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内閣府「PPP/PFI推進アクションプラン(令和3年改定版)」
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