政府は4月19日に開催した「気候変動対策推進のための有識者会議」で、金融庁主導で「グリーン国際金融センター」を設立する構想を打ち出した。「世界に開かれた国際金融センター」として、グリーンボンドやトランジションボンドの取引市場とする構想だ。
「トランジション」は、自動車の電動化や石炭火力に変わる水素発電の技術開発など、低炭素化に向けた「移行」を対象とする。金融庁、経済産業省、環境省の3省庁は、トランジションファイナンスのための基本指針を策定して、日本が強みを持つ産業・技術開発への資金調達を促進する狙いだ。
世界がグリーン化に向かうなかで、グリーンボンドやトランジションファイナンスの使途は多様化しており、CO2削減効果の中身がより問われるようになりつつある。質の伴わない事業を選別するためにも、情報開示や第三者評価がますます重要になってくる。
こうした事情を背景に、国は金融機関に対して、将来の気温上昇を仮定したシナリオ分析を基に、ビジネス戦略や財務上の影響範囲を評価するリスク管理を求める。投融資を通じて金融機関と企業が対話することで、新たなビジネス機会の創出につなげたい意向だ。これによって、地域金融機関が地域に貢献することも意図した。
3省庁は3月に、「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針(案)」を公表した。意見募集を踏まえて、5月までに指針を定める。5月からは、トランジションファイナンスのモデル事業を募集し、分野別ロードマップを作成する計画だ。