上下水道事業をグローバルに展開し「水メジャー」と呼ばれるヴェオリアとスエズは4月12日、ヴェオリアによるスエズ買収について基本合意したと発表した。ヴェオリアが、スエズ株を1株当たり20.5ユーロで取得する。両社はいずれもフランスが本拠地のライバルで、約半年間、買収を巡って対立してきた。買収契約が成立すれば、より巨大な水メジャーが誕生することになる。年間売り上げ規模は約370億ユーロ(4兆8000億円)になる見通しだ。
ヴェオリアは上下水・廃棄物・エネルギー管理などの事業分野を有する。グループ連結売上約260億ユーロ、従業員数約17万8700人。一方のスエズも水・電力・廃棄物処理などの事業を手掛ける。売上高約172億ユーロ、従業員数約9万人の企業だ。
日本でのヴェオリアは、74カ所の浄水場と64カ所の下水処理場を運転管理している。コンセッション事業にも早くから取り組み、浜松市の下水道コンセッション事業では、ヴェオリア・ジャパンやヴェオリア・ジェネッツが運営に参画している。3月に運営権者が決まった宮城県の上工下水一体コンセッション事業でも、優先交渉権を獲得したメタウォーターを代表企業とするコンソーシアムに、ヴェオリア・ジェネッツが構成員として名を連ねた。
スエズは1月に発表した「日本にて事業を拡大するスエズ」のなかで、日本で50年以上の歴史があり、何百もの水処理場、廃水処理場の建設に関わってきたと説明。日本で事業を展開するスエズウォーターサービスをPRした。2020年12月には、前田建設工業と上下水道のコンセッション事業に関する5年間の業務提携契約を結んだ。前田建設とスエズは、宮城県の上工下水コンセッション事業にコンソーシアムを組んで挑んだものの、優先交渉権者にはなれなかった。
ヴェオリアとスエズの日本での事業がどうなるかはわかっていない。