グローバル・インフラ・マネジメントとSMFLみらいパートナーズは、国内の稼働済みインフラ事業を投資対象としたインフラファンド「Global Infrastructure Managementインカム・ファンド2号」を組成し、仙台空港の運営事業に投資した。ほかに、太陽光発電ポートフォリオを組み入れている。ファンド規模は2025年3月末で200億円の予定。
仙台空港は国が管理する空港として第1号のコンセッション案件だ。ファンドは運営権者である仙台国際空港株式会社の無議決権株式(持ち株比率16.8%)を取得した。仙台国際空港には、東急や前田建設工業、豊田通商などが出資している。同空港は他の空港と同様、コロナ禍で旅客数が落ち込んだ。4期連続で赤字を計上したものの、2023年度は旅行需要や消費需要が戻り、5期ぶりに黒字に転換。過去最高の利益を上げた。太陽光発電ポートフォリオは中部地方を中心に国内の18物件、合計発電容量12.575MW。
グローバル・インフラ・マネジメントは東急とインフロニア・ホールディングスの折半出資会社、SMFLみらいパートナーズは三井住友ファイナンス&リースの戦略子会社だ。2社は無限責任組合員としてファンドを組成した。インフロニア傘下の前田建設は、日本で最も多くのコンセッション事業を運営している。東急は2番目にコンセッション参画数が多い。ファンドは交通・輸送のほか、観光・文教・エンターテインメント、地域ユーティリティーサービス、環境・エネルギーの各分野を投資対象分野に挙げている。
仙台空港と太陽光発電ポートフォリオの売り主は、グローバル・インフラ・マネジメントを無限責任組合員とするGlobal Infrastructure Managementアセット・クリエーション・ファンド1号。安定的なキャッシュフローを生み出すインフラ資産の創出を目的としている。
海外では、インフラファンドが空港や道路といったインフラ事業に投資し、機関投資家が長期に安定したリターンや分散投資効果を期待してファンドに出資するインフラ投資市場が成熟している。ファンドは投資家から資金を調達することで、インフラ整備・運営を加速する構図だ。日本では太陽光発電所などの再生可能エネルギー発電事業へのファンドの投資事例は多いが、投資可能な空港事業や道路事業は乏しく市場が未成熟だった。今回のファンドでは、地方銀行、保険会社、信託銀行、学校法人が有限責任組合員として名を連ねている。コンセッション方式で民間事業者が運営する国内の公的インフラ事業を組み入れ、機関投資家から資金を調達した点に意義がある。
<ファンドの概要>
名称:Global Infrastructure Managementインカム・ファンド2号投資事業有限責任組合
組成時期:2024年9月
予定規模:200億円(2025年3月末)
投資対象:国内の稼働済みインフラ案件
無限責任組合員:グローバル・インフラ・マネジメント(50%)、SMFLみらいパートナーズ(50%)
有限責任組合員:地方銀行、保険会社、信託銀行(年金信託)、学校法人