国会「コンセッション」レビュー、コロナ禍対応やアベイラビリティ・ペイメント方式で質疑

2021年の国会におけるコンセッション方式に関する主な討議を振り返る。コンセッションが話題になったのは、いずれも岸田政権発足前の委員会だ。コロナ禍での事業支援のあり方などについて質疑応答があった(以下の発言者の肩書きはすべて当時)。

内閣府は2020年7月、「PFI事業における新型コロナウイルス感染症に伴う影響に対する対応等について」を発表し、通常必要と認められる注意や予防方法を尽くしても事業運営に支障が生じる場合は、基本的に「不可抗力」として扱うとの見解を示した。同年10月には国土交通省が「コロナ時代の航空・空港の経営基盤強化に向けた支援施策パッケージ」をまとめている。

2021年の国会でもコロナ下の国の対応を問う発言が目立った。3月の衆院内閣委員会では、不可抗力の判断を自治体任せでよいかという質問が出た。答弁に立った河野太郎内閣府特命担当大臣は、「何かあったらすぐ支援するのではなく、どのように解決するのか、まず誠意を持ってお互い話し合うべきだ」と発言。「すぐに不可抗力と言うのでは、事業そのものも安定しないし、何のためにこれをやるんだ、それならもう自治体がやればいいということになりかねない」と続けている。

 

「国の財政支援は当初の目的の破綻」との意見も

同じく3月の衆院国土交通委員会では、広島空港のコンセッション事業の運営開始に先立って、国としてどのように対応するかという質問があった。国交省航空局長が「空港会社の声をよく聞いて、適時適切に必要な措置を講じる」と説明した。政府の支援策に対する反対意見もある。5月の衆院国土交通委員会では、コンセッション空港に対する国の財政支援は、民間の知恵と資金の活用によって空港経営の効率化を推進した当初の目的の破綻との批判が寄せられた。

6月の参院国土交通委員会では、コンセッションからアベイラビリティ・ペイメント方式に話が発展した。熊谷裕人議員(立憲民主党)は、コンセッション方式が国土交通省の所管分野になじみにくいとした上で、米国では有料道路の建設でアベイラビリティ・ペイメント方式を導入して成果を上げていると評価。国交省に導入対象分野を尋ねた。

これに対して、国交省総合政策局長が、「長期にわたって維持管理と改築更新をセットにし、成果や性能に基づいた契約とするアベイラビリティ・ペイメント方式を活用していく必要がある」と述べ、2021年度から、道路、橋梁、公園などの利用料金の生じない自治体に専門家を派遣し、案件形成を推進すると説明した。熊谷議員は答弁を受けて、利用料が発生するものにも使えると指摘し、「最終的には高速道路に導入できれば面白い」と話している。

 

 

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