三菱商事グループの丸の内インフラストラクチャーは2025年1月、総合型のインフラファンド「ダイヤモンドインフラストラクチャー投資事業有限責任組合」を組成した。
投資対象セクターとして、デジタル(データセンター、通信施設など)、エネルギー(再生可能エネルギー発電所、蓄電池、トランジション事業、ガス事業、熱供給事業など)、産業・交通(空港、港湾、道路、鉄道、水道、倉庫など)を挙げている。ファンドの目標規模は500億円。複数の機関投資家から出資確約を得た。
丸の内インフラストラクチャーは2017年に日本初の総合型インフラファンドを組成し、2024年3月に投資期間を満了した。本件が2号ファンドとなる。親会社のダイヤモンド・リアルティ・マネジメントは丸の内インフラストラクチャーの子会社化に際して、データセンターや冷凍・冷蔵倉庫の投資機会が拡大していることを伝えている。
GPIは風力発電の2号ファンド
2025年2月にはグリーンパワーインベストメント(GPI)が、風力発電事業を対象とする2号ファンド「グリーンパワーリニューワブル2号投資事業有限責任組合」を組成したと発表した。GPIが開発・保有して運営管理する国内の大型風力発電事業への投資を目的とする。ファンド規模は約610億円だ。
ファンドを運営する無限責任組合員は、GPI子会社のグリーンパワーインベストメント・ファンドマネジメント2号合同会社、三井住友トラスト・インベストメント、JA三井エナジーソリューションズ。GPIのほか、日本政策投資銀行などの複数の機関投資家が有限責任組合員として出資した。
GPIは2020年に竣工した陸上風力発電所「ウィンドファームつがる」(出力121.6MW)や、2024年に商業運転を開始した石狩湾新港洋上風力発電所(112MW)の事業者だ。2024年12月には青森県沖日本海(南側)洋上風力発電(615MW)の事業者にも選定されている。
世界のインフラを投資対象とする公募型投信
世界のインフラを投資対象とする国内投資家向けの公募型投資信託の取り扱いも、2025年2月に相次いで始まった。
大和証券の「ダイワ・ブラックストーン・インフラストラクチャー・ファンド」は、米ブラックストーンがファンドを運用する。長期の需要拡大が見込まれるデジタル、エネルギー、運輸に集中的に投資する。投資単位は5万米ドル(約770万円)。野村証券の「野村マッコーリー・プライベート・インフラ・ファンド」は、豪マッコーリー傘下の非上場インフラ企業が主な投資対象だ。道路やガスパイプライン、データセンターなどを例示している。投資単位は500万円。
これらのファンドは、インフラ投資に精通したブラックストーンやマッコーリーの運用力をセールスポイントとしている。これまで機会が限られていたインフラ投資の選択肢を増やす投信である。
インフラの概念を広げる「シン・インフラファンド」
東邦ガスは電通グループのイグニション・ポイント ベンチャーパートナーズと共同で、「シン・インフラ ファンド」を2024年12月に設立した。登記上の名称は「東邦ガスシン・インフラ投資事業有限責任組合」。こちらはインフラ事業への投資ファンドではなく、自社の資本を活用してスタートアップに投資するコーポレートベンチャーキャピタルである。
未来の生活に欠かせない商品・サービスを「シン・インフラ」と呼び、アグリ/フード、ウェルネス/ウェルビーイング、不動産、観光の4分野を重点投資領域と定めた。国内スタートアップ企業への投資を通じて、将来的に東邦ガスの収益の柱となる事業創出を目指す。運用総額50億円で、期間は10年間だ。
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「シン・インフラファンド」の投資領域のイメージ (出所)東邦ガス