大阪ガスが次世代集光型太陽熱システム開発の豪新興FPR Energyに出資

大阪ガスは、次世代集光型太陽熱(CST:Concentrated Solar Thermal)システムの開発を手掛ける豪新興企業FPR Energyに出資した。CSTシステムは、太陽光を集約して熱として蓄える熱媒体を用い、太陽光を効率よく熱エネルギーに変換して貯蔵・供給する次世代のクリーンエネルギー技術だ。鉱業、製鉄、セメント、化学産業など、脱炭素化が難しい産業分野で利用が可能。太陽光を熱エネルギーとして貯蔵することで、再エネによる安定・安価な熱供給の実現が期待される。

FPR Energyは、豪CSIRO (Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation、連邦科学産業研究機構)が開発した次世代集光型太陽熱技術の社会実装を目指すスタートアップとして、豪投資・企業アドバイザリー会社のRFC Ambrian、大阪ガスと連携して2023年に設立。集光型太陽熱技術の商用化を目指して、1500万豪ドルのシード資金を確保している。 

FPR Energyのシステムは、熱媒体として化学的に安定なセラミック粒子を活用し、独自開発したレシーバー、熱交換器を採用する。既存技術と比べて高温(最高1200℃)の蒸気による熱供給が可能となり、コストや熱交換効率、運転管理の面でも優位性がある。

既に1MWt(Megawatt thermal)規模の実証を完了しており、2026年内をめどに最大16時間の熱エネルギー貯蔵機能を備えた商用化規模(50MWt)の実証プラントに向けて技術開発を進める。さらに、豪州・北南米・中東などで50MWt規模の事業化、将来的にはその数倍以上の規模での社会実装を視野に入れている。

 

集光型太陽熱システムの仕組み

システムの仕組みは、図中の①特殊な鏡(ヘリオスタット)で太陽光を1カ所に反射(集光)、②レシーバーで太陽光を受け、粒子(熱媒体)を加熱、③貯蔵箱で高温粒子を貯める、④熱交換器で高温粒子により水を高温蒸気等に変換、⑤→②熱交換器で冷やされた粒子はレシーバーに移し、装置内で粒子を循環 (出所)FPR Energy提供の図を基に大阪ガスがリリース

InfraBiz
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