北海道石狩市(人口約5万8000人)は1月25日、コンセッション方式を導入する「石狩市厚田マイクログリッドシステム運営事業」の優先交渉権者に高砂熱学工業を選んだ。公募型プロポーザル方式で実施し、1社だけが応募した。契約締結後、2022年4月から事業を開始する。
厚田地区に小規模な電力系統(マイクログリッド)を形成して、地産地消の新たな電力供給モデルを構築。災害に強い地域をつくるとともに、地域振興を目指す。運営者は、太陽光発電設備、水素エネルギーシステム、蓄電池システム、一括受変電設備、エネルギーマネジメントシステムを活用して電気を供給する。
市が事業を実施した場合の年間収支の試算では、電気の供給による売上高が1360万円、系統からの調達、保守管理、修繕などに要する原価が1350万円となっている。公募要領で示した運営権対価「0円以上」に対し、提案は0円。高砂熱学工業が出資・設立する特別目的会社(SPC)が事業を運営する。将来、共同出資者を募る可能性がある。
高砂熱学工業は、2020年に公募のあった「石狩市エネルギー地産地消事業化モデル設備導入委託業務」でも、共同企業体の1社として選ばれている。同社が2021年6月に提出した有価証券報告書には、厚田地区マイクログリッド事業向けにグリーン水素製造用水電解装置の導入を予定していると記載していた。
- 名称:石狩市厚田マイクログリッドシステム運営事業
- 運営権設定の対象設備:太陽光発電設備(163.4kW)、水素エネルギーシステム(水電解装置1m3/h、燃料電池2kW、水素タンク1MPa未満120Nm3)、蓄電池システム(50kW/168kWh)、一括受変電設備、エネルギーマネジメントシステム、可搬式蓄電池(12kW/40kWh)、太陽光発電等計測表示システムおよびデジタルサイネージなど
- 電気の供給先対象施設:道の駅石狩あいろーど厚田、石狩消防署厚田支署、厚田学園、厚田学校給食センター、安瀬増圧ポンプ場
- 事業期間:2022年4月~2032年3月(協議による延長可)
- 運営権対価:0円
- 優先交渉権者:高砂熱学工業