浮体式洋上風力分野で進む海外プロジェクトへの参画、技術開発、提携・協業

開発ポテンシャルが大きい浮体式洋上風力分野で、海外プロジェクトへの参画や基礎構造の技術開発、企業間の提携・協業が進んでいる。

 

ユーラスエナジーが英スコットランド沖の事業開発に参画

ユーラスエナジーホールディングスの海外グループ会社であるEurus Energy UKは2024年6月、英スコットランドで開発中のPentland浮体式洋上風力発電プロジェクトに参画するため、デンマーク資産運用会社Copenhagen Infrastructure Partners(CIP)との間で、CIPおよびスウェーデンHexiconが出資するHighland Windの株式を一部取得することで合意した。ユーラスエナジーグループが洋上風力発電事業に出資参画する初案件となる。

Pentlandプロジェクトは、ハイランド州のドーンレイ沖7.5kmで予定されている浮体式洋上風力発電事業で、100MW規模の設置許認可を得ている。運転期間は最長25年。CIPが主要株主、Hexiconが少数株主として出資するHighland Windによって開発が進められている。開発は、CIP専属の洋上風力事業開発パートナーであるCopenhagen Offshore Partnersが担う。

 

東京ガスがポルトガルの事業運営に参画

東京ガスは2024年8月、ポルトガルで稼働中の浮体式洋上風力発電所 WindFloat Atlanticを運営するWindplusへの投資について、売り主(株主)であるOcean Winds(ポルトガル電力公社のスペイン子会社EDP Renewablesとフランス電力・ガス会社ENGIEの折半出資)と合意した。この投資によって、東京ガスは2020年5月に出資した米Principle Powerの共同株主であるOcean Windsとの共同事業者となり、海外浮体式洋上風力発電事業に初参画する。
WindFloat Atlanticは、10MW級の大型風車を搭載して商用運転している浮体式洋上風力発電所(8.4MW×3基=25.2MW)。Principle Powerの浮体式基礎システム「WindFloat」を採用している。同システムは構造的な安定性に優れ、最大波高20m、最大瞬間風速毎秒38.8mという大しけの中でも稼働した実績がある。

 

日立造船と鹿島がセミサブ型ハイブリッド基礎製造工法開発

日立造船と鹿島は2024年8月、NEDOのグリーンイノベーション基金事業「浮体式洋上風力発電実証事業」フェーズ1の「浮体式基礎製造・設置低コスト化技術開発事業」で、セミサブ型ハイブリッド浮体式基礎の製造工程が1割以上短縮できることを確認したと発表した。今後、愛知県沖田原市・豊橋市沖における浮体式洋上風力実証事業フェーズ2で、水上接合工法を採用する。セミサブ型浮体式基礎を日立造船堺工場で製造する予定だ。

 

住友商事と日揮が浮体構造体で協業

住友商事と日揮は2024年7月、浮体式洋上風力発電事業領域での浮体構造部材の詳細設計・製造・納入における協業可能性の検討に関して合意書を締結した。浮体部材のサプライチェーン構築に向け、両社は生産・供給体制の「低コスト化」「効率化」「量産化」を目指して、主に以下の領域での協業可能性を検討する。

  • 浮体基礎デザインを基にした浮体部材の詳細設計
  • 浮体部材製造のパートナーとなる鉄鋼系・造船系メーカーの開拓、発注、製造管理
  • 洋上風力発電の拠点港への浮体部材の輸送

 

川崎汽船が係留施工サービスで英Acteon Group Operationsと協業

川崎汽船と川崎近海汽船の合弁会社であるケイライン・ウインド・サービス(KWS)と海洋インフラサービス企業の英Acteon Group Operationsは2024年8月、日本における浮体式洋上風力発電事業での実証案件・商業案件における協業検討を目的とした覚書を締結した。

KWSは、NEDOのグリーンイノベーション基金事業フェーズ1に参加して、大規模な浮体式風力発電所における船舶を用いた係留施工方法の研究を実施。グループ傘下のInterMoorを中心に、設計から施工、撤去まで浮体式設備の係留エンジニアリングを手掛けるActeonとの協業を基に、船舶を用いた安全・効率的な係留施工サービスを提供する体制の構築を目指す。

InfraBiz
関連サイト
ユーラスエナジーホールディングスのウェブサイト
東京ガスのウェブサイト
NEDOのウェブサイト
住友商事のウェブサイト
川崎汽船のウェブサイト
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