リニア新幹線の東京・大阪開業、骨太方針で「最速2037年」は堅持

リニア中央新幹線の品川・名古屋間(286km)は2027年の開業を目指していたが、現状、2031年以降にずれ込むことが確実だ。静岡工区が未着工であることに加え、山梨県駅(甲府市)と座光寺高架橋(長野県飯田市)の竣工予定が2031年になっている。総工事費(車両費を含み、山梨リニア実験線既設分は除く)は、工事実施計画変更(2023年12月認可)で7兆482億円となっている。

静岡工区着工に向けた取り組み・対策は主に3点ある。

  • リニア開業に伴う東海道新幹線の輸送余力を活用した東海エリアの利便性向上・地域にもたらす効果の調査分析。
  • トンネル掘削による影響が懸念されている大井川の水資源の確保:中下流域の河川流量の維持に向けた導水路トンネル等の対策、工事の一定期間に静岡県外に流出するトンネル湧水を戻す具体策(田代ダム活用案)。
  • 南アルプスの生態系等の環境保全。

東京・大阪間(438km)の開業については、「経済財政運営と改革の基本方針 2024」(骨太方針)の中で、財政投融資の活用によって2045年から前倒した「最速2037年」を堅持する。国は2016年、当時の東京・大阪間の開業想定時期(2045年)の最大8年間前倒し(最速2037年)を図るため、財政投融資を活用して2016~2017年の2年間で3兆円の長期・固定・低利の貸し付けを実行している。総工事費は、品川・名古屋間がすでに増額されているため、中央新幹線(東京都・大阪市間)調査報告書(2009年12月)による9兆300億円から増額変更されると見込まれる。

名古屋以西の駅位置については、新大阪駅のほか、三重県内3カ所(亀山駅東側、同駅西側、同駅南側)、奈良県内3カ所(JR平城山駅周辺、八条・大安寺地区に設置予定のJR新駅周辺、JR関西本線と近鉄橿原線が交差する場所周辺)が候補となっており、JR東海が環境影響評価手続きの中で特定していく。

Infrabiz
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