フランスの総合インフラサービス事業会社VINCI(2020年の売上高432億ユーロ)が2021年12月末、スペインACS(同349億ユーロ)のエネルギー部門(グループ子会社Cobra IS)の買収を完了した。同年3月に両社が取引に合意していた。買収額は49億ユーロ(6300億円)。42億ユーロの企業価値に、子会社の保有現金と様々な調整に関連する7億ユーロを加えたもの。買収は、エネルギー部門におけるエンジニアリング・建設工事・サービスのグローバルリーダーを目指すVINCIにとって、再生可能エネルギーのコンセッション事業を開発するというグループ戦略の重要な一歩となる。
買収対象は下記の通り。
- ACS産業サービス部門のほとんどの契約事業。
- 開発中または建設中の新設コンセッション9事業(送電網6、灌漑プラント1、オープンサイクル発電所1、洋上風力発電所1)。送電網は南米。
- 再生可能エネルギー事業開発プラットフォーム。
買収によって、VINCIは強力な成長手段を獲得する。
- Cobra ISの事業と地理的な足跡は、エネルギー部門でターンキーのEPC(エンジニアリング・調達・建設)事業を提供するための専門ノウハウと、イベリア半島と南米での強力なローカルポジションを通じて、VINCIの事業と地理的な足跡を補完する。
- VINCIのビジネスモデルは、再生可能エネルギーのコンセッション開発におけるCobra ISの専門ノウハウから恩恵を受ける。VINCIは、太陽光発電と陸上風力、および潜在的な洋上風力の追加で、最終的には総容量約15GWに相当する短中期の新しい機会を特定。同社の財務力は、再エネ資産の長期的な運営者としての新会社の成長を加速する上で、さらなる利点になる。
ACSは、Cobra ISによって開発・資金調達・所要認可取得・権益取得済みの再エネ容量1GWごとに4000万ユーロ(最大15GW、6億ユーロ)の収益支払いを8.5年にわたって受け取る。さらに、VINCIとACSは合弁契約を締結し、Cobra ISによって開発・資金調達・建設され、送電網に接続された再エネ資産を市場価格で購入する権利を持つ新事業体(出資VINCI 51%、ACS 49%)の構築を規定している。