フランスVINCIがスペインACSの産業サービス事業を55億ユーロ超で買収

欧州インフラ総合サービス事業会社の両雄、フランスVINCI(2020年の売上高432億ユーロ)とスペインACSグループ(同349億ユーロ)は2021年3月31日、VINCIがACSグループの産業サービス事業(ACS Industrial Servicesが所管)を総計55億ユーロ超で買収する契約に署名した。取引には規制当局の承認が必要であり、2021年末頃に完了する予定だ。

ACS Industrial Servicesは、エネルギー、産業、モビリティの各インフラに対する開発・EPC(エンジニアリング・調達・建設)、運営・維持管理、各種支援サービスを提供する。スペイン、メキシコ、ブラジル、ペルー、チリをはじめ世界50カ国に従業員約4万5000人を擁し、ネットワーク、特殊製品、制御システムにまたがる幅広い支援サービスに加えて、主にエネルギー部門向けのEPCサービスに強みを発揮する。過去3年間の平均売上高は60億ユーロ超、EBIT(営業利益)マージンは平均6%以上だ。

VINCIによる買収範囲は以下の通り。

  • ACS Industrial Servicesのほとんどの請負事業(エンジニアリングと工事)。
  • 送電分野で開発中・建設中の8つ(5つの送電網、1つの灌漑プラント、1つのオープンサイクル発電所、1つの洋上風力発電プロジェクト)のグリーンフィールドコンセッション。
  • ACS Industrial Servicesの再生可能エネルギー開発プラットフォーム。このプラットフォームによる再生可能エネルギーのコンセッションプロジェクトの実績があり、過去3年間で4GWが開発されている。VINCIとACSのエネルギー部門は、主に太陽光発電と陸上風力発電、今後の洋上風力発電プロジェクトで約8GWの事業機会を特定している。

取引の対価は次のように分類される。

・ACSグループは49.3億~49.8億ユーロを受領する。これは、42億ユーロの固定額(企業価値)と、現金補償(運転資本やその他の調整)としての7.3億~7.8億ユーロの追加支払いで構成。

・2021年3月31日から取引完了後7年までの間に、ACSのエネルギー部門によって開発され資金調達・所要ライセンスが確保されている容量分に対して、0.5GWごとに2000万ユーロ、最大6億ユーロ(最大15GW)を受領する。最初の42カ月で6GWを開発できなかった場合、期限を18カ月延長する。

さらに、両社は合弁会社(VINCIが51%、ACSが49%の出資)の設立に合意している。両社は、少なくとも取引完了後8年半までの間に、買収企業によって開発・建設され送電網に接続された既設の再生可能エネルギー資産を、市場価格で取得する権利を有する。

InfraBiz
関連サイト
VINCIのウェブサイト
ACSグループのウェブサイト
タイトルとURLをコピーしました