12月3日に開催された政府の第16回経済財政諮問会議で、有識者として参加する柳川範之議員(東京大学大学院経済学研究科教授)ら4人のグループが、PPP/PFIを積極的に活用すべき対象として、上下水道、文化・スポーツ施設、公民館、公園を挙げた。この意見を受けて牧島かれんデジタル大臣は、「全国の様々なインフラで、民間の資金・ノウハウが最大限に活用されるよう、しっかり取り組む」と述べた。政府は来年春までに新たな目標を設定し、具体的な方策を示す。
有識者グループは、5G基地局整備にPPP/PFIを導入することも促した。5G基地局設備に要する携帯通信事業4社の投資額は、2028年までの8年間の合計で約6200億円になる見通しだ。各社による巨額の重複投資がなされる可能性があることから、PPP/PFIの候補として挙がった。PPP/PFIで基地局を整備して携帯通信事業者が共用すれば、各社の設備投資は抑えられ、5Gの普及も促進されるという構図だ。
PPP/PFIに関する有識者グループの主な提言は以下の通り。
- 2022年度以降のPPP/PFIの中期の計画を早急に策定し、野心的な目標、重点分野別の取組方針とKPI等を具体的に掲げ、地銀等を巻き込みながら、大胆に推進すべき。
- PPP/PFI業務にデジタル技術を活用し、民間参入を促進すべき。課題を洗い出し、インフラDX化、行政府の業務のデジタル化と合わせて課題解決すべき。
- 上下水道、文化・スポーツ施設、公民館や公園は、民間の新たな知恵を呼び込みPPP/PFIが積極的に活用され普及するようにすべき。また、民間で巨額な重複投資(基地局)が行われている分野にもPPP/PFI導入の可能性を検討すべき。ESG投資の重要性が指摘される中では、樹木採取権制度の有効活用も促し、林業を成長産業化すべき。
柳川氏は、PFIの推進策を検討する内閣府PFI推進委員会計画部会の部会長も務めている。11月に開催された計画部会では、内閣府から自治体に対するPPP/PFIの活用促進に向けた今後の施策の方向性として、首長や議会に対する誤解・懸念解消の働きかけや、活用実績や効果の見える化などが示された。カーボンニュートラルやデジタル化、公共サービスの質の向上について測定する指標を設定する案も出ている。