仙台市ガス事業民営化、東北電力グループはなぜ選ばれなかったのか

仙台市のガス事業民営化に応募した民間事業者の提案を審査した市の推進委員会(委員長:橘川武郎国際大学副学長)は9月7日、「該当者なし」とする答申書を郡和子市長に提出した。東北電力(代表)・東京ガス・石油資源開発・カメイで構成する1グループが応募していた。

採点結果は合計85.3点と、200点満点の半分にも達しなかった。審査の所見には厳しい言葉が並んでいる。なかでも目を引くのが「事業継続の確実性」に対する次のコメントだ。

「ガス局の顧客数の減少は近年最小限にとどまり、ここ数年間は黒字経営が維持されているのに対し、提案された事業計画では、事業譲渡後に顧客数、販売量及び当期純利益の急激な減少が示されており、とりわけ、譲渡後5年間で約2万件の顧客を失うとする事業計画は、仙台圏の市場構造を踏まえてもその根拠も明確ではないと受け止めた」

ほかにも、「リスクに対し極めて慎重・保守的」「全体的に市民やユーザーの期待に沿った魅力的なものになっているとは言い難い」「競争の激化が想定される中で生き残るためにも民間のアイデアを生かした新サービスを期待したが、全体的に内容が具体性に欠け、これらがユーザーにとってどういうメリットがあるのかわかりにくい面があった」などの言葉がある。

「譲受希望価格」の配点は60点となっていたが、400億円の最低価格での提案だったため0点。審査報告書には「残念」の言葉が4回も使われ、「該当なしとすることが適当」との結論に至った。

応募が1グループにとどまり、競争原理が働かなかったことは、提案が保守的になった大きな要因である。推進委員会は、新型コロナウイルス感染症も、事業者の慎重な姿勢につながったと推察している。

仙台市ガス事業民営化の公募は2008年にも行われ、東京ガス、東北電力、石油資源開発のグループが資格者となったものの、辞退した経緯がある。このときは世界的な金融危機の影響で見通しが不透明となり、譲渡価格の提示が困難との理由だった。

InfraBiz
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