スパークス・グリーンエナジー&テクノロジー(SGET)は、北海道苫小牧市で水素の製造・貯蔵・輸送・利用のサプライチェーン構築に向けた実証事業を開始する。環境省の「令和5年度 既存のインフラを活用した水素供給低コスト化に向けたモデル構築・実証事業」に公募して採択された。
苫小牧市が保有する沼ノ端クリーンセンター内の廃棄物発電と太陽光発電の電力を組み合わせ、年間最大100万Nm3の再エネ水素を製造して供給する。電力は自営線で水電解装置に直接供給し、電力系統の制約を回避する。廃棄物発電所の夜間余剰電力を活用することによって製造コストを低減し、地域内での水素利用の需要創出を目指す。
水素は高圧水素トレーラーで市の温泉リゾート施設や近隣の北海道曹達、トヨタ自動車北海道などに運搬し、燃料電池やボイラー、ストーブなどに利用。寒冷地での灯油使用量削減にもつなげる。
三井住友信託銀行は事業者のサポート役として参画して、実証の成果や普及シナリオの分析・作成などを担当する。同社は環境・エネルギー分野の専門家チームを2021年度に発足させた。安価に水素を製造し、地域で活用するグリーン水素サプライチェーン構築の取り組みを推進している。
SGETの親会社であるスパークス・グループは、太陽光発電所などの再エネ電源の開発やファンド運用にも注力している。将来的には、FIT(固定価格買取制度)期間が終了した卒FIT電源による全国的な再エネ水素普及について検討する考えだ。
グリーン/エネルギーに関する動向は、月次レポート「インフラ・グリーン・デジタル投資動向」で逐次、解説しています。