地方創生に資する金融取組事例に笹川小水力など、内閣府

内閣府はこのほど、2021年度の「地方創生に資する金融機関等の特徴的な取組事例」を公表した。選定された31事例には、いくつかのインフラ投資事例が含まれている。その一つが、すみれ地域信託(岐阜県高山市)が手掛けた、売電収入で集落の水道設備を刷新する富山県朝日町笹川地区の信託スキームだ。人口減少によってインフラ改修費用の確保がままならない地域で、財源や雇用を創出する事例として注目に値する。

地域の過疎化は進行しており、ここ数年は水道管の破損が頻発していたという。事態収拾に動いたのが地方ゼネコンの深松組(仙台市)だ。資料によると、朝日町を創業の地とする同社は、私財を投げ打って改修費用を賄う意向だったが、すみれ地域信託が加わり、発電と水道を混合させたサステナブルなスキームを組成した。

 

年間約4500万円の収入見込む

地域の豊富な水資源に着目して、小水力発電事業を起案したことがポイントだ。再生可能エネルギーのFIT(固定価格買取制度)による売電収入で簡易水道を刷新し、地域住民の「持ち出しゼロ」でインフラを維持することを目指した。包括信託口からの資金拠出と朝日町からの補助金で、設備を更新する。

工事は2021年5月に開始した。売電は2023年6月開始、水道改修工事は2025年3月に完成予定だ。稼働後は、年間約4500万円の収入を見込んでいる。信託期間の20年間で、小水力発電の建設費5億2000万円と、水道改修費2億7500万円を賄う計算だ。水道設備を所有するのは笹川水道組合。町民などで構成される組合が保守管理業務を担うので、雇用創出(0.5人工×250日/年)にもつながるというわけだ。

小水力発電の売電収入で集落の水道設備を刷新する信託スキーム (出所)すみれ地域信託

 

このほかのインフラ系の事例には、三井住友銀行・京都銀行による京都府立山城総合運動公園「太陽が丘アウトドアパーク」の収益化スキームがある。ほかにも、上田信用金庫の上田市スマートシティ化計画の推進支援、三井住友会場火災保険によるドライブレコーダーのデータを活用した道路点検支援サービスなどが選ばれている。

InfraBiz
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