三菱地所は1月26日、5Gインフラシェアリング事業に参入すると発表した。5年間で300億円を投じ、1000サイト超のインフラを建設する方針だ。第1号サイトを丸ビルに建設し、2022年4月頃からNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルにインフラを提供する。
インフラシェアリングは、5G基地局のタワーやスマートポールなどの設備を、複数の通信事業者が賃借して共用する仕組みだ。通信事業者の設備投資額の抑制や、5Gネットワークの早期整備に貢献する。屋外ではタワーの乱立が避けられ、環境負荷や景観面の効果が見込める。岸田文雄首相が掲げる「デジタル田園都市国家構想」は、インフラシェアリングを活用した基地局整備を働きかけている。
三菱地所は、自社が所有・運営する不動産以外での5G基地局の設置も進める方針だ。建物周辺を5Gエリア化することで物件の価値が高まり、建物の収益増につながる効果を不動産オーナーに提案する。同社は2021年6月、DX推進部内に「5Gインフラシェア事業室」を設置。全国の主要都市で、地元企業とのコンソーシアムなどを通じてインフラを整備する計画だ。郊外や過疎地域でも鉄塔を取得・建設する。
日本では、JTOWERや住友商事などが先行して通信基地局のインフラシェアリングに取り組んできた。不動産の開発や運営に長けた三菱地所のインフラシェアリング参入は、これまで通信事業者が自ら保有することの多かった通信基地局の流動化を促すだけでなく、投資ビジネスの多様化につながる可能性がある。米国にはAmerican Tower Corporationなど、通信インフラを保有・運営するREIT(不動産投資信託)があり、主要な投資分野として認知されている。