米国の通信インフラ不動産投資信託(REIT)、American Tower Corporation(ATC)が欧州子会社ATC Europeの一部株式を、カナダのケベック州投資信託銀行(CDPQ)とドイツのAllianz Capital Partners(ACP)に売却する。売却額は、CDPQへの株式30%分が16億ユーロ超、ACP への10%分が5.3億ユーロ超。これらの取引によって、ATC Europeの企業価値(デットを含む)は88億ユーロ(1兆1400億円)と算定されることになる。当該者が2021年5~6月に発表した。
ATCは2021年1月に、Telxius Towers(スペイン)の買収契約締結を発表している。この契約によって、ATCはドイツとスペイン(合計で約2万4000)、南米(合計で約7000)の既存通信サイトを獲得する。取引額は77億ユーロ。6月上旬には、ドイツ(約4000の屋上サイトを除く)とスペインのサイト分の取引を62億ユーロ、南米(ブラジル、ペルー、チリ、アルゼンチン)分を9億ユーロで完了した。ドイツの屋上サイトの取引は2021年第3四半期に完了する見込み。取引完了後、ATCの全サイト数は約21万4000になる。このうち、ATC Europeのサイト数は、Telxius Towers買収分を合わせて約3万。米国では4万2000サイトを有する。
ATCの売上高は80.42億ドル(8800億円、2020年末時点)、FFO(当期純利益-不動産売却損益+減価償却費)37.88億ドル(調整後)。鉄塔や基地局など、無線通信インフラのリースによる不動産投資(REIT)・管理事業をグローバルに展開している。ATCはさらに、ドイツとブラジルにおける約3300の新サイト構築のために2025年までに約5億ドルを投じる予定だ。