コロナ禍で大幅な減収減益、欧州コンセッション会社の2020年決算

道路交通量20%減、空港旅客数70%減、需要急減が業績を直撃

道路や空港を運営する欧州主要コンセッション会社の2020年12月期決算が出そろった。COVID-19パンデミック対策としての都市封鎖や移動制限の影響で、道路交通量、空港旅客数が急減し、売上高や貢献利益が前年比で大幅に減少した。

図表1では、フランスVINCIの道路子会社VINCI Autoroutes(国内道路4443km)、空港会社VINCI Airports(ロンドン・ガトウィック空港、関西国際空港など、12カ国で45空港)、スペインFerrovialの道路子会社Cintra(連結対象の米国テキサス州道路や持分対象のカナダ407ETRなど)と空港子会社Ferrovial Aeropuertos(持分対象の英国ヒースロー空港など)、スペインの道路コンセッション会社Abertis Infrastructuras(欧州や南米15カ国で道路8600超km)、Atlantiaの道路子会社ASPI(国内道路2855km)、空港会社ADR(ローマのフィウミチーノ空港、チャンピーノ空港)とACA(フランスのニース空港、カンヌマンドリュー空港、サントロペ空港)の2020年の交通量・旅客数と売上高を一覧にした。

子会社への出資比率が50%以下の場合は持分法が適用され、子会社の売上高は親会社の売上高に計上されず、EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)やEBITの決算項目に、「貢献利益」などとして反映される。

2020年の道路部門と空港部門の実績を前年と比較すると、道路交通量の減少幅が20~30%であるのに対して、空港の旅客数の減少幅は70%前後と大きく、それが前年比54~72%減の大幅な減収につながっている。ヒースロー空港など英国の空港を持分対象とするFerrovial Aeropuertos(スペイン)の親会社への貢献利益はマイナス4.47億ユーロ(前年はプラス1.15億の貢献)となった。

コンセッション事業の不調は、グループ全体の売上高や利益への影響も大きい。コンセッション(Concession、道路部門と空港部門)と請負(Contracting)を事業の二本柱とするVINCI(フランス)の2005~2020年の売上高、営業利益(EBIT)、営業利益/売上高比率(EBITマージン)を事業別に比較すると(図表2、図表3)、コンセッションの落ち込みが請負より大きく、「コンセッション:請負」の売上高構成比率は1.4:8.6(近年の実績は2:8)、営業利益構成比率は5.5:4.5(同7:3)と、コンセッションの比重が低くなり、営業利益/売上高も27%に低下(同35~45%)している。近年はコンセッション事業が順調に実績を伸ばしてきたが、COVID-19パンデミックによる需要急減が業績に大きな打撃を与えたことをあらためて突き付けた。

 

図表1■コンセッション会社の交通量・旅客数、売上高の前年比一覧

(出所)各グループの決算結果を基に作成

 

図表2■VINCIグループの売上高・営業利益(EBIT)の推移

青色がコンセッション(Concession)、黄色が請負(Contracting)、赤色は不動産。近年、コンセッション事業は売上高に占める割合は小さい(約2割)が、営業利益に占める割合は大きかった(約7割)。しかし、2020年の売上高に占める割合は14%、営業利益に占める割合は55%となった(出所)VINCIの年次レポートを基に作成

 

図表3■営業利益/売上高比率(EBITマージン)の推移

近年のコンセッション事業の営業利益/売上高比率は35~45%へと拡大してきたが、2020年は27%に低下した(出所)VINCIの年次レポートを基に作成

 

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