五島市沖洋上風力発電事業の浮体構造不具合、運転開始を2年延期

五島市沖洋上風力発電事業の浮体構造に不具合が見つかった問題で、戸田建設と事業主体のSPC(特別目的会社)「五島フローティングウィンドファーム合同会社」は9月22日、運転開始時期を当初予定していた2024年1月から、26年1月に2年延期すると発表した。公募占用計画の変更を申請し、国から認定を受けた。

この事業では、2.1MWの発電設備を8基設置する。地上ヤードで建設中の浮体構造2基に不具合が見つかったため、造り直す。既に海上に設置済みの浮体3基については、1基を陸揚げして健全性を検証する。そのうえで、海上にある残りの浮体2基の取り扱いを判断する。

風車は全長176.5m、海面からの高さが100.5m、喫水部分が76m。チェーンを用いて3点で係留する。風車の基礎となる浮体は、下部をコンクリート、上部を鋼で構成する細長い円筒形で「ハイブリッドスパー型」と呼んでいる。事業主体は、下部をコンクリートとすることで単純なリング状のコンクリートを次々と組み合わせる構造が可能となり、量産効果が期待できると説明していた。鋼製部にコンクリート部を接合し、浮体部を完成させる手順だ。不具合の詳細は明らかにしていないが、リング状のコンクリートを接続するためのPC(プレストレストコンクリート)部分に耐久性不足につながる問題が発覚したため、製造方法を変更する。計画・設計のミスとみられる。

戸田建設は不具合の是正費用として、2023年3月期に約95億円の特別損失を計上している。今回の、運転開始時期延期の発表に伴う業績予想の修正はない。

 

<事業概要>
事業名称:五島市沖洋上風力発電事業
事業主体:五島フローティングウィンドファーム合同会社
出資者:戸田建設、ジャパン・リニューアブル・エナジー、大阪ガス、INPEX、関西電力、中部電力
発電設備:浮体式洋上風力発電、全長176.5m、ローター径80m
(日立製作所製、ハイブリッドスパー型、3点係留方式)
出力:16.8MW(2.1MW×8基)
供給価格:36円/kWh
工事開始:2022年9月
運転開始:2026年1月(予定)
事業終了:2043年12月(運転停止予定日)

 

※初出時の情報に、その後わかった情報を加えて修正しています(2023年9月25日)

 

戸田建設との一問一答は、10月初旬発行予定の月次レポート「インフラ・グリーン・デジタル投資動向」2023年9月版に掲載します。

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