蓄電池を用いた再エネアグリゲーション事業、採択された5コンソーシアム79者

ビジネスの拡大が確実視される蓄電池などを用いた再生可能エネルギーのアグリゲーション事業。どんな企業が市場をリードしていくのだろうか。下表は、経済産業省が2022年度に実施する再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業に採択された事業者の一覧だ。東芝エネルギーシステムズ、エナリス、SBエナジー、中部電力ミライズ、日本エネルギー総合システムをそれぞれ代表とする5コンソーシアム79者が名を連ねている。一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)が6月1日に発表した。

 

再エネアグリゲーションは、計画上の発電量と実際の発電量の差分(インバランス)を、再エネ発電所を束ねるアグリゲーターが調整する仕組みだ。2022年4月から始まったFIP(Feed-in Premium)制度では、再エネ発電事業者に正確な発電量予測に基づく計画値同時同量の責務が課され、計画と実績に差が生じた場合はインバランス料金を支払うリスクが生じる。このため、変動性の高い太陽光発電などの再エネ発電設備と、蓄電池などの分散型エネルギーリソースを組み合わせ、需給バランスを確保する技術が重要になる。

2022年5月に経産省が公表した「クリーンエネルギー戦略 中間整理」は、再エネを大量に導入するため、分散型リソースを活用して電力の安定供給に貢献するアグリゲーターの育成や、多様なビジネスモデルを創出する方針を掲げている。今回の実証事業も、脱炭素に向けた取り組みの一環だ。

 

蓄電池を用いたアグリゲーション事業のイメージ (出所)経済産業省

 

SIIの発表を受けて、事業者側もリリースを出した。例えばエナリスは、太陽光発電所と風力発電所、産業用蓄電システム・EVなどの設備を使って実証に取り組む。実証内容として以下を挙げている。

<実証内容>
【共通】インバランス回避実証
・発電量予測タイミング(通年でのFIP収益性・インバランス評価)
・バランシンググループ組成の検証(2021年度開発のバランシンググループ組成ロジックの更なる発展)
・蓄電池によるインバランス回避(制御ロジック改善、最適容量比検証)
【共通】市場取引での収益拡大に向けた検証
・収益性改善に向けた取り組み(制御ロジック改善、最適容量比検証)
【共通】再エネ発電量予測技術実証
・再エネ発電予測技術改善(野立てPV、風力、住宅用PV)
・アンサンブル気象予報導入による予測精度検証等
【独自】需給一体調整に関する検証
・発電側及び小売側システム連携による最適な運用ロジックの検討等
【独自】インバランスリスクに対するリスクファイナンシングの検討:
・再エネアグリ事業のリスク整理、保険を含むリスクファイナンシング手法の検討等
【独自】事業性シミュレーターの検討
・再エネアグリの蓄電池の経済性を試算するシステム検討・構築

 

東芝エネルギーシステムズは、太陽光や風力など200以上の発電リソースを用いて、発電量予測の実行頻度を増やすなど、さらなる精度の向上を目指す。中部電力ミライズは、京都市や京都大学を交えた産官学連携のコンソーシアムを組んだ。中部電力の太陽光発電所、風力発電所のほかに、京都市の太陽光発電所も交えた50MWの再エネリソースを用い、調整力200MWを運用して実証に取り組む。

中部電力ミライズの実証イメージ (出所)中部電力ミライズ

 

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