GPIFのインフラ資産7362億円に、IRR3.86%

国別構成比は英国23%、米国22%

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のインフラ資産の時価総額が7362億円になった。空港など一部の交通セクターで資産価値が減少したものの、その他のセクターの上昇や為替の変動により、インフラ資産全体では前年同期比で1911億円増加した。コミットメント額(拠出資金の契約上限額)は1兆1389億円。7月2日に発表した「2020年度業務概況書」で明らかにした。

投資開始来のオルタナティブ投資の時価推移(出所)GPIF

国別の投資割合は、英国23%、米国22%、豪州11%、スペイン9%、日本7%の順。セクター別では、再生可能エネルギー21%、ユーティリティー(電気、ガス)12%、空港11%、港湾11%などとなっている。1年前と比べて英国の比率が10ポイント低下、空港は4ポイント減った。これまでに、米国の太陽光発電施設や風力発電施設、北米最大手の港湾会社、豪州の鉄道運用会社、日本の太陽光発電施設や陸上風力発電施設などに投資してきた。

国別構成比とセクター別構成比(出所)GPIF

GPIFは、長期契約に基づき安定した利用料収入が期待できる「コア型」のファンドを中心に投資している。運用開始以来のIRR(内部収益率)は円建てで3.86%。2020年度の配当金は101億円だった。運用スキームと投資実績は以下の通りだ。

インフラの運用スキームイメージ(出所)GPIF

業務概況書は、新型コロナウイルス感染症による影響も伝えた。空港は大きな打撃を受けたが、大型・大量の物流に不可欠で代替手段のない港湾施設の業績は改善している。リモートワークや外出規制で通信需要が増大したことにより、データセンターなどの通信セクターは資産価値が上がった。電力・ガス・水道といった生活に欠かせないインフラの需要は底堅く、再エネの業績も安定している。

インフラは、不動産、プライベート・エクイティなどと並んでオルタナティブ(代替)資産に位置づけられる。オルタナティブ資産は、上場株式や債券といった伝統的資産とは異なるリスク・リターン特性を有する。流動性が低い一方、高い利回りが狙えることから、ポートフォリオの分散効果が期待できる。GPIFの計画では、オルタナティブ資産の投資上限は資産全体の5%。2021年3月末時点のオルタナティブ資産の時価総額は1兆3419億円で、全体に占める割合は0.7%だ。

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