経済産業省と国土交通省は再エネ海域利用法に基づく事業者選定第3ラウンドで2024年12月、青森県沖日本海(南側)と山形県遊佐町沖における事業者を選定した(図表1)。事業コンソーシアムとその構成企業は、青森県沖日本海(南側)がつがるオフショアエナジー共同体(JERA、グリーンパワーインベストメント、東北電力)、山形県遊佐町沖が山形遊佐洋上風力合同会社(丸紅、関西電力、BP Iota Holdings、東京ガス、丸高)。
今回の事業者選定のポイントは以下の通り。
- 応募者数は、青森県沖日本海(南側)が3グループ(計8社)、山形県遊佐町沖が4グループ(計17社)。2区域の合計で24社(戸田建設が2区域)が参画し、計8社(電気・ガス、エネルギー、商社等)が選定された。青森県沖日本海(南側)のグリーンパワーインベストメントはNTT アノードエナジー(約80%出資)とJERA(約20%出資)の合弁会社。山形県遊佐町沖のBP Iota Holdingsは英BPの子会社、丸高は同県酒田市の建設会社。
- 事業者選定の第1ラウンド(2021年12月)では三菱商事グループが3区域を独占、第2ラウンド(2023年12月)で伊藤忠商事、三井物産、住友商事が3区域で選定されたのに続き、今回は丸紅が山形県遊佐町沖で選定され、5大商社が出そろった。
- 海外企業では、英BP(BP Iota Holdingsを通じて。BPは丸紅とパートナーシップ契約を締結)、英SSE(SSE遊佐洋上⾵⼒発電を通じて)、ノルウェーEquinor(Equinor Japanを通じて)、デンマークCopenhagen Infrastructure Partners(同社管理の投資ファンド子会社シー・アイ・ファイブ・コーポレーティフ・ユー・エーを通じて)、シンガポールVena Energy(ヴィーナ・エナジー洋上⾵⼒を通じて)が公募に参画した。
- 2区域の発電タービンに、再エネ海域事業では初めてSiemens Gamesa Renewable Energy製(15MW)が採用される。
事業評価については、以下の点が注目される(図表2)。
- 事業実現性評価点(120点)、FIP(フィードインプレミアム)適用前提のゼロプレミアム水準(ZPL=3円/kWh)を満点とした価格点(120点)、合計240点満点の評価で、2区域とも選定事業者が240点満点(補正後。事業実現性評価点、価格点とも1位)を獲得した。
- 入札価格について、2区域合計の応募7者全てがZPLを入札し、価格点で差が付かなかった(120点満点)。
- そのため、2区域とも事業実現性評価で最高点を取った応募者が選定された。個々の評価項目の点数を見ると、2区域とも「事業計画基盤面/資金収支・計画」を除いて、選定事業者が最高点を獲得している。なお、運転開始時期について、2区域の計7者が審査基準日(2030年6月30日以前)を予定日として基礎点では差が付かなかったが、事業計画基盤⾯・実⾏⾯(事業実施体制・実績、資金収支・計画、運転開始までの事業計画、運転開始以降の事業計画を合わせて40点満点)の得点率を乗じて算出される「迅速性」で評価点に差が付いた。
- 事業計画基盤⾯・実⾏⾯やそれを加味した迅速性を含めて、事業実現性評価(補正前)は、選定事業者と次点者に青森県沖日本海(南側)で34.375点、山形県遊佐町沖で17.5点の差が付いた。
図表1 洋上風力第3ラウンドの選定事業者と公募参加者
図表2 洋上風力第3ラウンドの評価結果