国内の洋上風力発電事業における「各海域の進捗状況と計画・実施事業の発電容量」について、最新動向(主に2023年1~6月)を整理する。
(1) 再エネ海域利用法に基づく下記の再エネ海域で、計画段階環境配慮書(配慮書)が経済産業省や関係自治体に送付された。環境影響評価方法書(方法書)が送付された事業で、計画段階環境配慮書から設備容量が変更になっている区域もある。
- 北海道石狩市沖:2月、石狩市沖洋上風力発電事業、配慮書送付。
- 北海道檜山沖:4月、檜山沖洋上風力発電事業、計画中だった事業を変更して配慮書送付。
- 秋田県八峰町及び能代市沖:4月、八峰町及び能代市沖における洋上風力発電事業、方法書送付。
- 秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖:1月、男鹿市、潟上市及び秋田市沖洋上風力発電事業、配慮書送付。
- 新潟県村上市及び胎内市沖:2月、新潟県村上市および胎内市沖洋上風力発電事業、配慮書送付。5月、村上市及び胎内市沖洋上風力発電事業、配慮書送付。5月、新潟県村上市・胎内市沖洋上風力発電事業、方法書送付。5月、新潟村上市・胎内市沖(日本海)洋上風力発電事業、方法書送付。
- 千葉県いすみ市沖:3月、千葉県いすみ市沖における洋上風力発電事業、配慮書送付。
(2) 経済産業省と国土交通省は5月、「準備段階」だった北海道5区域(石狩市沖、岩宇・南後志地区沖、島牧沖、檜山沖、松前沖)を「有望区域」に追加。有望区域は合計で10区域になった。
(3) 事業者を公募していた4促進区域の公募占用計画の受付は6月末で締め切られた。それぞれの区域で環境アセス手続き中の事業者は「秋田県八峰町及び能代市沖」が5グループ、「秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖」が5グループ、「新潟県村上市及び胎内市沖」が8グループ、「長崎県西海市江島沖」が2グループとなっている(応募事業者とは必ずしも一致しない)。選定結果公表は2024年3月の予定。ただし、秋田県の能代港または秋田港の利用重複に伴う公募占用計画の再提出プロセスが生じなかった場合等においては2023年12月に前倒しされる。
(4) 港湾区域、一般海域では下記の動きがあった。
- 秋田港:1月、運転開始。2022年12月に国内初となる商業ベースの洋上風力発電が運転開始された能代港に続いた。
- 北九州港:3月、北九州響灘洋上ウィンドファーム、着工。
- 福島県楢葉町・富岡町沖:2月、福島県楢葉町・富岡町沖浮体式洋上風力発電事業、方法書送付。
- 富山県東部沖:2月、入善洋上風力発電事業、着工。
- 徳島県海部郡美波町沖合:6月、徳島県美波町沖洋上風力発電事業、配慮書送付。
この結果、再エネ海域利用法に基づく指定・整理(2023年6月末時点)は、事業者選定・公募占用計画認定済みの「促進区域」が4区域、事業者選定中の「促進区域」が4区域、「有望な区域」が10区域、「準備段階」が6区域となった。事業者選定済みの4区域の計画容量(計1.759GW)と、事業者選定前の各区域の最大計画容量の合計は約13.0GW。再エネ海域利用法に準拠前の海域や港湾区域、一般海域を含めると、約19.5GWになる。
なお、各海域における情報(本記事の内容や関係事業者名、最大計画容量を含む)を整理した一覧表「各海域の進捗状況と計画・実施事業の設備容量(更新8)」は、月次レポート「インフラ・グリーン・デジタル投資動向 2023年6月」に収録しています。
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