GPIFのインフラ資産1兆円超え、日本の投資割合は5%

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の2022年3月末時点におけるインフラ資産の時価総額は、1年前から3426億円増えて1兆788億円になった。新規投資やコロナ禍で影響を受けた空港などのセクターの業績回復、為替の変動などが寄与した。インフラ、プライベート・エクイティ、不動産を投資対象とするオルタナティブ資産の残高は2兆円を超え、運用資産全体(196兆5926億円)の約1%を占める。7月1日に発表した「2021年度業務概況書」で明らかにした。

国別の投資割合は、米国26%、英国22%、豪州9%、スペイン7%、カナダ6%、日本5%の順。セクター別では再生可能エネルギーが最も多く21%。通信は前年比で3ポイントアップし、13%を占める。投資開始以来のインフラのIRR(内部収益率)は、円建てで8.93%となっている。

 

オルタナティブ資産は、伝統的な投資対象である上場株式、債券とは異なるリスク・リターン特性を有する。ポートフォリオに組み入れることによって分散効果が期待できるとともに、運用の効率性が向上する効果が見込める。GPIFは資産全体の5%を上限としてオルタナティブ資産を運用している。

インフラ投資においてGPIFは、「コア型」と呼ばれる、安定した利用料金収入が期待できる稼働中の事業を主な投資対象としてきた。投資一任と自家運用の二通りの方法で運用している。投資一任は、選定した運用受託機関がGPIF専用のファンド・オブ・ファンズを組成した上で、ファンドに投資する手法。2021年度は、既存運用受託機関2社の新規ファンドに投資を実行した。自家運用では、インフラ投資に豊富な実績を持つカナダ・オンタリオ州公務員年金基金(OMERS)と日本政策投資銀行との共同投資協定に基づき、先進国の稼働中インフラに投資している。

6/7に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」は、「GPIF等の長期運用資金が、ベンチャー投資やインフラ整備等に循環する流れを構築する」と記した。これについて会見で対応を問われたGPIFの宮園雅敬理事長は、政策目的での投資はできないことを伝えたうえで、「わが国のインフラも、良い案件があれば投資の対象にする」と語った。

InfraBiz
関連サイト
GPIFの発表
タイトルとURLをコピーしました