経済産業省は4月7日の再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会や、13日に開催した総合資源エネルギー調査会基本政策分科会で、2030年における再エネ発電導入量の現時点での見通しを示した。30年の電力量は、政策を強化した場合に2903億kWhを超え、19年度の1.5倍以上になる。
目標値は、電源別の発電容量(GW)と電力量(kWh)を算出した。①これまでの導入量、②FIT既認定未稼働分の稼働、③今後の新規認定分の稼働――を合算したものだ。新規認定分の稼働については、「政策継続」と「政策強化」の2パターンを提示した。以下は政策強化の試算結果だ。
30年の出力の目標値に占める新規稼働の割合を「伸び代」と考えてグラフにしたのが下図だ。新規稼働割合が最も大きい電源(青色部分)は洋上風力で81%を占める。次いで陸上風力41%、地熱39%の順。太陽光は政策強化ベースの目標値が検討中なので、政策継続ベースの値でみると新規稼働が16%となる。
目標値に対しては、委員の間にも「楽観的」と「保守的」の分かれた見方がある。特に風力に関しては、複数の参加者から保守的という指摘が寄せられた。政府は洋上風力の導入量を毎年1GWとしているが、認定から運転開始までの期間(リードタイム)が長いため、政策を強化した場合でも新規稼働は3GWになっている。日本風力発電協会は、洋上風力の導入目標を30年までに10GWとしており、今回示された3.7GWとは大きなギャップがある。
電源によっても異なるが、再エネ導入量を拡大するには、適地の確保、系統接続、コスト負担などが大きな課題だ。7日の委員会では、再エネを増やさなかったときのコストや、次世代の負担についても考えるべきだという意見も出た。