経済産業省と国土交通省は2024年3月、再エネ海域利用法に準じた秋田県八峰町及び能代市沖における事業者に、合同会社八峰能代沖洋上風力を選定した。構成員は、ENEOSホールディングスの再エネ子会社ジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE、代表企業)、スペイン大手電力会社Iberdrolaの子会社イベルドローラ・リニューアブルズ・ジャパン、東北電力の3社。設備容量は375MW(15MW×25基、Vestas製)で、運転開始は2029年6月30日の計画だ。
秋田県八峰町及び能代市沖では、2023年12月時点で最も評価が高かった事業者の港湾の利用重複に伴う公募占用計画の再提出が生じていたため、選定事業者の公表が遅れた。同区域に加えて、2023年12月に選定事業者を公表した3区域(秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖、新潟県村上市・胎内市沖、長崎県西海市江島沖)を含む4区域(第2ラウンド)の選定結果の詳細も公表された。4区域の選定事業者以外の公募参加者も明らかにしている(下表)。
洋上風力事業者選定第2ラウンドの概要と公募参加者
第2ラウンドの総括は下記の通り。
- 4区域で11社(電力・ガス、エネルギー、商社)が選定された(東北電力は2区域で選定)。全体的に、複数区域への参加が目立った。3区域への参加: JERA、住友商事、東京電力リニューアブルパワー、東北電力、 2区域への参加:伊藤忠商事、ジャパン・リニューアブル・エナジー、石油資源開発、電源開発。
- 秋田沖(八峰能代)には商社が入っていない。その他の3区域には、第1ラウンド(3区域)を独占した三菱商事以外の3商社(伊藤忠商事、三井物産、住友商事)が入った。
- 独RWEとスペインIberdrolaが海外企業として初めて選定された。その他、海外勢では英BP(BP Alternative Energy Investments)、仏TotalEnergies Renouvelables、独Skyborn Renewables(Saikai Enoshima Beteiligungs)、米Invenergyが公募参加者に名を連ねた。
- 事業実現性評価点(120点)、FIP適用前提のゼロプレミアム水準(ZPL=3円/kWh)を満点とした価格点(120点)、合計240点満点の評価で、秋田沖(2区域)と新潟沖では選定者が240点満点(補正後)を獲得(両評価とも1位)。
- 基礎がモノパイル式、供給価格上限19円/kWh、ZLP3円/kWhの秋田沖(2区域)で応募計6者中6者、同じく新潟沖で応募4者中3者の価格点が満点(入札価格3円/kWh)で差が付かなかった。
- 基礎がジャケット式、供給価格上限29円/kWh、ZPL3円/kWhの長崎沖では、選定者の事業実現性評価点は別の応募者を下回ったが、価格点(入札価格22.18円/kWh)が上回って逆転した。
- 事業実現性評価では、審査基準の運転開始時期とその前提となる事業計画性・実行性を評価する「迅速性」で点数に差が付いた。特に秋田沖(八峰能代)では、その差が1位と2位を分けた。