内閣府の「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」は2月21日、道路における再生可能エネルギー導入拡大を実現するために、国が旗を振って舗装型太陽光発電を推進すべきだと提言した。
この日の会合は、道路や都市公園での再エネ導入拡大がテーマ。太陽光が直接降り注ぐ公の場所であることから、道路や都市公園は、再エネ拡大の可能性を有しているとの認識だ。タスクフォースのメンバーは、技術の進歩に伴い、道路本来の目的を阻害することなく舗装型太陽光発電設備が設置できるようになってきていると説明した。さらに、道路やトンネルは照明の電力を消費するので、レジリエンス強化の観点からも有効と指摘。海外の導入事例も紹介しながら、国土交通省に対して、車道を含む道路における野心的な再エネ導入目標の設定と達成に向けたロードマップの策定、技術基準や政省令の改正を求めた。
これに先立つ2月18日、タスクフォースを担当する牧島かれんデジタル大臣は記者会見で、「国内では私道や駐車場での導入は徐々に進みつつあるものの、公道での設置は制度上できず、導入拡大の弊害になっている」と述べている。
国交省は道路本来の役割を損なうことを懸念
国は、公共部門における太陽光発電の率先導入の方針を掲げ、国・自治体が保有する建築物の屋根などの約50%に太陽光発電を導入する前提で、2030年度までに6.0GWの導入を見込んでいる。タスクフォースの提言によると、道路のポテンシャルは、車道を含まないSA、PA、法面、中央分離帯の合計で10.3GW。仮に54万haの道路全てに舗装型太陽光を敷き詰めた場合、日当たりなどを考慮しない単純試算で336GWのポテンシャルがあるとの試算も紹介した。
会合で国交省道路局は、道路に太陽光発電設備を敷設する際の課題を列挙。道路本来の役割を損なうことを懸念し、限られた場所で試験的かつ段階的に導入していく姿勢を示した。これに対してタスクフォースメンバーは「道路が発電の場になるという発想の転換がほしい」と迫ったが、両者の基本的な考え方の隔たりは残ったまま、この日の議論は幕を閉じた。
<国交省が示す路面太陽光発電の主な課題>
①舗装に関する技術基準への適合性の確認が必要
②発電効率が悪く費用対効果が低い可能性
③既に存在する他の占用物件に係る工事への対応が必要
④発電と需要のミスマッチへの対応が必要
⑤高水準の維持管理のための体制の構築が必要(災害時等も含む)