「遊佐沖洋上風力発電に係る環境アセスメント共同実施コンソーシアム」は2021年12月、「山形県遊佐沖洋上風力発電事業 環境影響評価方法書」を経済産業大臣に届け出た。山形県遊佐町沖は、再エネ海域利用法で「有望な区域」に挙げられている。環境アセスメント共同実施コンソーシアム(以下、コンソーシアム)は、加藤総業(山形県酒田市)を代表者とし、コスモエコパワーが事務局を担う。
コンソーシアムを構成する20社は、加藤総業とコスモエコパワーによる計画段階環境配慮書を承継した上で、コンソーシアムとして共通の方法書を作成することを決定した。既に同配慮書を縦覧した事業者は廃止通知を提出している。各事業者はそれぞれの事業計画を有するが、本方法書では各事業者の計画を踏まえ、想定される最大の環境影響に基づいて環境影響評価の方法を定めている。
コンソーシアムを構成する事業者(および事業)は下記の20社(図表も参照)。
▶既に計画段階環境配慮書を作成した事業者(事業名):2社
- 加藤総業、コスモエコパワー(山形県遊佐沖洋上風力発電事業)
▶計画段階環境配慮書を作成し、かつ当事業への参画のために(環境影響評価法における)廃止通知を提出済みの事業者(事業名):7社
- 石油資源開発、九電みらいエナジー(遊佐町沖洋上風力発電事業)
- 住友商事(山形県庄内遊佐町沖洋上風力発電事業)
- SBエナジー(山形県遊佐町沖における洋上風力発電事業)
- 丸紅、関西電力(山形県遊佐町沖着床式洋上風力発電事業)
- インベナジー・ウインド(山形遊佐町沖洋上風力発電事業)
▶その他、当事業の構成員となる事業者:11社
ジャパン・リニューアブル・エナジー、RWE Renewables Japan、INFLUX、JR東日本エネルギー開発、JERA、電源開発、東北電力、三井不動産、三菱商事エナジーソリューションズ、レノバ、ユーラスエナジーホールディングス
図表■環境アセスメント共同実施コンソーシアムの構成
遊佐町沖における洋上風力発電事業は公募事業のため、複数の事業者によるそれぞれの事業が計画され、環境影響評価手続きも各事業者が実施しているが、同一海域で複数の手続きが実施されることは、行政や地元住民、関係者にとって大きな負担になることから、山形県が事業者に対して、環境影響評価方法書を可能な限り集約化するよう要請していた。コンソーシアムは、環境影響評価方法書集約化のための組織であり、事業を共同実施する組織ではない。方法書で、計画発電容量は最大450MW(単機出力9.5~15MW×最大52基、総発電出力が系統接続容量450MWを上回る場合はこれを下回るように出力調整)となっている。
なお、コンソーシアムとは別に、下記の事業者が環境影響評価手続きを実施している。
▶共同実施とは別に環境影響評価手続き中の事業者(事業名):3社
- 日本風力開発(遊佐洋上風力発電事業):2021年9月に環境影響評価方法書を提出。
- 東京電力リニューアブルパワー(山形県飽海郡遊佐町沖洋上風力発電事業):2021年6月に計画段階環境配慮書を提出。
- 中部電力(山形県遊佐町沖洋上風力発電事業):2020年7月に計画段階環境配慮書を提出。
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詳しくは、日経BPの紹介サイトをご覧ください。本レポート中、日本の洋上風力市場に熱い視線を送っている海外企業3社のインタビューが第4章に収録されています。企業名と目次見出しは下記の通りです。
- Iberdrola(スペイン)「コミュニティーの一員として日本の洋上風力発電事業に参画したい」
- Principle Power(米国)「日本の海域に適した浮体式洋上風力技術を提供できる」
- RTE international(フランス)「日本の洋上風力発電事業でも高圧直流送電が支配的になる」