太陽光発電所を主な投資対象とする上場インフラファンドは、再生可能エネルギーで発電した電気を、国が決めた価格で一定期間、電気事業者が買い取るFIT(固定価格買取制度)に基づき、安定した収入が期待できる点が魅力だ。7銘柄が東京証券取引所に上場し、分配金利回りは3月22日時点で6%前後となっている。
しかし、FIT期間が終了すれば収入が減少する恐れがある。長期の投資を志向する投資家にとっては、「FIT後」が大きな関心事だ。そんななか、上場インフラファンドが「卒FIT」について語り始めた。
「RE100」企業による買い取りを期待
エネクス・インフラ投資法人は2020年10月の投資家説明会で、太陽光パネルを変えればFIT後も競争力が保てることや、「RE100」企業が高めの価格で電力を買い取る可能性について言及した。RE100とは、事業運営に使用するすべての電力を再エネで調達する目標を掲げた企業連合のことだ。
タカラレーベン・インフラ投資法人は20年11月の決算説明会資料で、卒FITを迎えた住宅用太陽光発電設備が生み出した電気を電力会社などが買い取る事例を紹介。将来的に事業用再エネ発電設備も、電力会社やRE100企業の買い取り対象になる可能性があると展望した。
21年2月には、いちごグリーンインフラ投資法人が中間決算説明の動画で、FIT終了後の運用について、ある程度の利益を見込める売電価格なら継続し、売り上げが運営コストを下回る場合は施設を売却するという考えを示した。FIT終了に近いタイミングで判断するという。
運用期間と収益の関係を、わかりやすく図示したのは日本再生可能エネルギーインフラ投資法人だ。21年1月15日付の公募増資の補足説明資料では、収益は低下するものの、適切なO&M(運用・保守)と計画修繕で、安定的な売電収入が保てるというイメージを伝えた。