「3つのD」が今後10年のインフラ投資メガトレンド、ブルックフィールドが分析

インフラ資産運用会社のグローバル“3強”の1社、Brookfield(Brookfield Asset Management)は2025年12月に、インフラ投資の2026年見通しに関する分析レポート「Infrastructure Outlook: Accelerating Growth, Embedded Resilience」を発表している。

近年、Digitalization(デジタル化)・Decarbonization(脱炭素化)・Deglobalization(脱グローバル化)という構造的メガトレンドが相互に因果関係を持ちながら同時進行している。Brookfieldは、これらが収斂することによって、電力・データ・産業インフラを中心とした大規模な資本需要が今後10年以上(2026~30年代)にわたって継続する「インフラのスーパーサイクル(Infrastructure Supercycle)」が到来していると分析。あわせて、これら「3つのD」を今後10年のインフラ投資機会とパートナーシップ戦略を定義する基本フレームワークとして提示している。以下、レポートの内容を要約する。

インフラのスーパーサイクル

インフラの定義が、伝統的な電力・交通輸送システムを超えて、次世代のグローバル生産基盤となるデジタルおよび産業エコシステムへと拡大している。データセンター、ビハインド・ザ・メーター発電(電力メーターから需要家側に設置される発電設備)、産業インフラ、サプライチェーン(供給網)がインフラの投資対象として台頭。世界のインフラ投資ニーズは加速度的に高まり、デジタル化・脱炭素化・脱グローバル化という3つの構造的トレンドが相互に作用して巨大な投資機会を生み出す。こうした流れによって、機関投資家の実物資産への配分が高まっていく。

AI革命

AIは次世代の汎用技術として台頭し、その影響は経済のあらゆる分野に及んで、かつてないレベルの基盤インフラが必要となる。汎用人工知能(AGAI)は生産性の飛躍的な向上をもたらす可能性があり、その潜在能力を実現するにはAIバリューチェーン全体にわたって多額の投資が必要になる。データセンター(AIファクトリー)、ビハインド・ザ・メーター発電、GPU(画像処理装置)などのコンピューティングインフラ、半導体製造や光ファイバー網はデジタルインフラ投資の中心的な需要となっていく。大手テクノロジー企業が資金力を持つパートナーとの提携を模索している中で、旺盛な資本ニーズに応じたインフラを提供するために資本提携を構築する絶好の機会が生まれている。

サプライチェーンの再構築

技術革新と並行して、脱グローバル化は経済活動の地理的構造を再構築する。産業の国内回帰として始まった動きが、エネルギー、製造、物流のエコシステムの体系的な再構築へと発展している。政府も企業もサプライチェーンの強靭化、エネルギー安全保障、技術主権を最優先事項としている。その結果、長期投資家は安定した収益をもたらす長期インフラ型契約を通じて構築された製造プラットフォームへの投資機会を狙う。対象には半導体製造、バッテリー製造、ロボット製造など、産業インフラ全体に及ぶセクターが含まれ、特殊加工、物流、ミッドストリームおよび供給エネルギー、さらにAIや再産業化に関連する産業拠点に広がっている。

電力需要への対応

AIと電化の台頭によって、エネルギーの発電と輸送の必要性が高まっている。デジタル化と製造業の国内回帰を背景に、あらゆる地域で電力需要が急増する一方、既存の送電インフラは対応に苦慮している。老朽化し​​た設備の更新、再エネ発電の統合、信頼性の確保のために送電網への投資が必要になる。送電網のボトルネック解消は投資の重要なテーマとなり、エネルギーバリューチェーン全体にわたる大規模なパートナーシップや民間資本によるソリューションの機会を生み出す。相互接続の遅延を軽減するための送電網の近代化と更新、そして規制されたインフレ連動型リターンを提供する公益企業主導の設備投資プログラムが最も大きな投資機会になる。

天然ガスと原子力発電を陸上風力、太陽光、蓄電池と組み合わせた「あらゆる手段を講じる」ベースロード電源へのアプローチは信頼性ニーズを満たすうえで不可欠である。同時に、データセンターや産業用ユーザー向けのビハインド・ザ・メーター発電が重要な推進力として浮上し、電力供給開始までの時間を短縮して系統のボトルネックを回避しながら、デジタルインフラの構築と直接的に連携する。

強靭なパフォーマンス

地政学的またはマクロ経済的な不確実性に左右されることなく、インフラ投資は本質的に市場サイクルを乗り切るように構築される。インフラの強靭性はその中核的な特性に由来する。つまり、参入障壁が高く永続的で長期にわたる資産であること、インフレに連動する契約または規制に基づく収益源であること、安定的で予測可能なキャッシュ利回りを有していることである。これらの構造的特性は、あらゆる環境においてインフレからの保護と安定したパフォーマンスをもたらす。短期的な摩擦が生じる可能性はあるが、成長の根本的な軌道を変えるものではない。インフラの不可欠かつ永続的な性質は、景気循環の変動期におけるその強さを支えている。

グローバルな成長に向けた準備

世界のインフラセクターは持続的な成長を続ける基盤を築いている。AIの導入はクリーンで信頼性の高い電力なしには実現できず、電力網の近代化は民間資本なしには進展しない。経済の再産業化はデジタルおよびエネルギーインフラなしには成功しない。この融合は長期投資家にとって世界経済の次なる段階を支える物理的な基盤に資金を提供する一世代に一度の機会を生み出している。

電力、データ、製造のエコシステム全体において、必要とされる資本規模は企業や政府機関が単独で調達できる規模をはるかに超えている。このダイナミズムは、政府やハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)がオフバランスのソリューションを模索する中で、大規模なパートナーシップ、合弁事業(JV)、非公開化の波を牽引している。こうした連携は、政府系コンピューティング施設やAIエコシステムからビハインド・ザ・メーター発電や次世代製造能力に至る必要不可欠なインフラの迅速な提供を可能にする。

インフラセクターの強靭性、資産配分の増加、戦略的重要性の深まりは、かつてないほど建設的な見通しを裏付ける。2026年以降、「3つのD」はもはや個別のメガトレンドではなく、世界経済成長の収斂基盤であり、今後10年間の投資機会を決定づけるものであることは明らかである。

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