沖電気工業(OKI)および損害保険ジャパン、SOMPOリスクマネジメントは2025年2月、洋上風力発電所の海底電力ケーブルに対するリスク評価と事故による損害軽減を目的に、ケーブルの異常予兆検知に関する検討を開始した。洋上風力発電の導入が進む欧州では、埋設した海底ケーブルが露出することによる断線などの事故が発生しており、事業運営における重要な課題になっている。
海底ケーブルの異常予兆検知には、OKIの光ファイバー技術を用いる。ケーブル内に組み込まれた光ファイバーを活用し、ケーブル周囲の温度や音響(振動や音)の変化を広範囲に測定する。埋設状態や船舶が錨を下ろすことによる振動、底引き網漁の振動などによって異常が発生した箇所をリアルタイムで検知・発報する仕組みだ。これによって、ケーブルの異常箇所を容易に把握でき、ケーブルの状態把握にかかるメンテナンスコストを大幅に削減できる。破損事故などの発生原因の判断にも活用できる。海底電力ケーブルには通信や監視用途の光ファイバーケーブルが併設されていることも多く、その既存ケーブルの使用によって、導入コストを抑制することも可能だ。
損害保険ジャパンとSOMPOリスクマネジメントは、欧州で海底電力ケーブルの破損事故が発生している状況を踏まえ、洋上風力発電設備のリスクを適正に評価して、発電事業者への事故抑止および被害軽減に向けたアドバイスの提供や、異常予兆検知サービスを付帯した新たな保険商品の開発などの検討を進める。

光ファイバーケーブルを用いた海底電力ケーブルの異常予兆検知方法の概念図 (出所)OKI