両備ホールディングス(岡山市)とSustech(サステック、東京都港区)はこのほど、運用資産額200億円規模の再生可能エネルギーファンドを設立すると発表した。FIT(固定価格買取制度)の買い取り期間が順次、終了していくことを見据え、市場での売電価格に一定の補助額(プレミアム)を上乗せするFIP制度を活用した太陽光発電所を主な投資対象とする。
当面の目標として、100MW以上の発電設備の組み入れを目指す。ファンドには金融機関なども投資するとみられる。ファンドの名称や組成時期は決まっていない。両社はプレスリリースで、「再エネをより普及・発展させていくためには、資金供給も含めたビジネスエコシステムの構築が必要」と伝えた。1号ファンド設立後は、2号ファンドの組成を目指す。
4月にスタートしたFIP制度の下では、電力の需給バランスに応じて発電・売電する工夫が求められる。Sustechは、発電量を高い精度で予測する技術をベースに、FIPの課題とされるインバランスリスク(計画上の発電量と実際の発電量の差分によるリスク)を低減する技術を保有。これを太陽光発電事業に導入することで、運営効率を高めることも意図している。
Sustechは、保有技術を通じて様々な企業とネットワークを築いている。7月には、ニトリグループの店舗や物流倉庫の屋根を活用したFIP太陽光発電を開始すると発表した。ニトリグループが電力を長期にわたって購入し、余剰電力をSustechが電力プラットフォームを活用して外部に売電する。発電容量は2030年までに80MW規模になる見込みだ。
両備HDは、両備バスをはじめとする交通・運輸事業やまちづくり事業のほか、私募REIT(不動産投資信託)のファンド運用でも実績がある。両備HDとSustechは、Sustechが開発する分散型電力運用システムを、両備HDの地熱発電事業に用いる共同実証実験にも取り組んでいる。