フランスVINCIグループのコンセッション事業会社VINCI Concessions は、国外の道路コンセッション事業を管轄する子会社VINCI Highwaysを通じて、米デンバー環状道路(コロラド州)の有料区間であるノースウェスト・パークウェイ(14km)のコンセッション会社Northwest Parkwayの100%株式を約12億米ドルで取得した。VINCI Concessionsにとって、米国における初の大型買収だ。
ノースウェスト・パークウェイのコンセッション期間は2007年から2106年まで(99年間)。コンセッション会社買収時点の残存期間が最長82年の長期契約となる。契約には、経済成長、インフレ、およびこれらの下落に対する下限に関連した料金スライド方式が含まれている。
VINCI Highways は米国で、インディアナ州とケンタッキー州を結ぶOhio River Bridges East End Crossingの運営や、子会社のViaPlusを通じてカリフォルニア州とテキサス州の公共機関に代わり州のフリーフローETC(Electronic Toll Collection)契約を管理するなどの実績を有する。
ノースウェスト・パークウェイの当初のコンセッション会社Northwest Parkway(ポルトガルBrisa Auto-Estradas de Portugal:出資90%、ブラジルCompanhia de Concessões Rodoviárias:同10%)は2007年、道路運営・維持管理の99年コンセッション契約をNorthwest Parkway Public Highway Authorityと締結した。2010年に電子料金徴収(ETC)システムを全面導入。2017年には、3つのインフラファンド(英HICL Infrastructure、オランダDIF Infrastructure IV、カナダNorthleaf Capital Partners)からなるコンソーシアムが、コンセッション会社を買収。2024年4月に、VINCI Highwaysが同社の100%株式を株主のインフラファンド・コンソーシアムから取得した。
エディンバラ空港とブダペスト国際空港の株式取得
空港部門では、VINCI Concessionsの子会社VINCI Airportsが2024年6月、英エディンバラ空港の過半株式(50.01%)を12.7億ポンドで取得した。残り(49.99%)は100%保有していた米資産運用会社Global Infrastructure Partners(GIP)が引き続き保有する。ロンドン・ガトウィック空港と同様のモデルになる。
エディンバラ空港はスコットランド最大で、旅客数が英国で6番目。VINCI Airportsは、ベルファスト国際空港、ガトウィック空港に続き、英国で3つ目の空港の所有者となる。
また同月、VINCI Airportsはハンガリー政府が所有・管理する投資ファンドCorvinusとともに、AviAlliance(カナダ年金基金CPPIBが保有するドイツ空港運営会社)、Malton(シンガポールGIC Special Investmentsの子会社)、CDPQ(カナダ年金基金)で構成されるコンソーシアムから、ブダペスト・リスト・フェレンツ国際空港のコンセッション会社の100%株式を取得した。取引価額は株式31億ユーロと純負債12億ユーロ。VINCI Airportsがコンセッション会社株20%、Corvinusが80%を保有する。