オーステッドが米国洋上風力のポートフォリオ再編で6000億円の減損

洋上風力発電最大手のデンマークØrstedは2023年11月、米国の洋上風力発電プロジェクトOcean Wind 1 & 2(ニュージャージー州)の開発中止と、Revolution Wind(ロードアイランド州)への最終投資決定(FID)を下した。米国洋上風力ポートフォリオの見直しの一環で、Ocean Wind 1(1100MW) & 2(1148MW)の開発中止などによって計上した減損(2023年1~9月期)は284億DKK(約6000億円、1DKK=21円)になる。

Ørstedは2023年8月、米国の洋上風力発電事業で160億DKKの減損が予想されると発表していた。その発表以降も、サプライヤーの供給遅延によるプロジェクトの大幅な遅延、投資税額控除(ITC)の前提条件の変更、金利上昇、Sunrise Wind(ニューヨーク州)に対する OREC(洋上再エネ証明書)の調整欠如などによって損失が増え、減損の総額は284億DKKに達した。総額の7割(199億DKK)はOcean Wind 1に起因している。さらに第4四半期(4Q)には、契約解除料などで80億~110億DKKの引当金を計上する。

一方、最終投資決定を下したRevolution Wind(704 MW、Eversourceと折半出資)は、陸上の建設がすでに始まっており、洋上の建設は2024年に開始、2025年に完工の予定だ。3Qに33億DKKの減損を計上したにもかかわらず、Revolution Windは将来を見据えての価値創造が可能としている。

同じく3Qに28億DKKの減損を計上したSunrise Wind(924MW、Eversourceと折半出資)について、Ørstedは、NYSERDA(ニューヨーク州エネルギー研究開発局)による洋上風力発電促進に関する情報提供依頼書(Request for Information)を歓迎している。これによって、プロジェクトの再入札が実施される可能性がある。提案依頼書(Request for Proposal)の条件を待って、再入札するかどうかを決定する。

Skipjack Wind(メリーランド州、966MW)については、最小限のプロジェクト支出でプロジェクトの再構築を継続しており、州の利害関係者との協議を続けている。

Ørstedの2023年1~9月の売上高は649億DKK(前年同期比33%減)、損失199億DKK(前年同期は153億DKKの黒字)。9月時点の洋上風力発電導入容量は8.871GW、導入と建設中を合わせた容量は12.691GW。洋上・陸上風力資産からの発電量は前年同期から5%増加した。洋上風力では、英国Hornsea 2と台湾Greater Changhua(大彰化)1 & 2aが貢献した一方、2022年3QのHornsea 2のファームダウン(出資持ち分の他社への売却)や2023年3QのLondon Arrayの売却によって相殺された。

図表1 減損284億DKKの内訳

減損(284億DKK)の内訳は、プロジェクト別ではOcean Wind 1(199億DKK)の割合が大きく、要因別ではサプライチェーンに起因する減損(169億DKK)が多く、金利上昇の影響(62億DKK)が続く。 (出所)Ørsted

図表2 Ørstedの再生可能エネルギー容量(洋上風力、陸上風力、その他)

Ørstedの洋上風力発電導入容量(左端の濃青色)は8.871GW(2023年9月時点)。最終投資決定したRevolution Wind(704MW、上図破線内)を含めて、導入+建設中の総容量は12.691GW。受注・契約済みの中にSunrise Wind(924MW)や US Mid-Atlantic cluster(3214MW)がある。その US Mid-Atlantic clusterに含まれるOcean Wind 1(1100MW)& 2(1148MW)が消滅し、Skipjack Wind(966MW)が残ることになる。 (出所)Ørsted

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