台湾の雲林洋上風力発電所(Yunlin Offshore Wind Farm、640MW)における建設工事の遅延や工事費増加のため、事業コンソーシアム(Yunneng Wind Power)に出資参画している双日、ENEOSホールディングスなど国内5社が、2023年3月期決算で損失を計上している。損失額の合計は1000億円超になる。
双日(出資比率9.1125%)、ENEOSホールディングス(6.75%)、中国電力(3.375%)、中電工(3.375%)、四国電力(4.3875%)は、共同設立したStarwind Offshoreを通じて、合計でコンソーシアムの株式27%を保有する。そのほか、コンソーシアムには、Skyborn Renewables Taiwan(25%)、Electricity Generating(タイ)(25%)、TotalEnergies(フランス)(23%)が出資参画している。Skyborn Renewablesは、米ファンド運用会社Global Infrastructure Partnersが陸上風力・洋上風力・太陽光発電事業のドイツwpdから洋上風力部門wpd offshoreを買収し、2022年9月にSkyborn Renewablesと改称して再出発させた事業会社だ。
雲林県沖合で建設中の発電所(640MW=8MW×80基)は、事業費940億NT$(ニュー台湾ドル)(4100億円)。2021年12月までの運転開始を目指して2019年5月に着工したが、漁業関係者とのトラブル、新型コロナウィルスパンデミックによる建設要員移動および資機材調達の遅れ、台風到来などの天候不順、モノパイル基礎の海上落下事故などによって工事が遅延し、工事遅延に伴う収入減に加えて、資機材価格の高騰が重なって投資収益が悪化している。
こうした影響を受けて、国内5社が2023年3月期決算で計上した損失は下記の通り。
双日は、本件投資に係る減損損失224億円、および連帯保証債務に対する引当損27億円の合計251億円を、持分法による投資損失として計上。
ENEOSホールディングスは、詳細非公表だが、エネルギー事業の電力部門で「台湾洋上風力発電ほかで340億円の減損」を公表しており、約8割が同事業に関連するものとしている。
投資子会社のC&Cインベストメント(中電工との折半出資)を通じて出資している中国電力は、持分法による投資損失として営業外費用に159億円、事業損失引当金として特別損失に21億円を計上。
同じくC&Cインベストメントを通じて出資している中電工は、持分法による投資損失として営業外費用に125億円、関係会社事業損失引当金として特別損失に8億円を計上。
投資子会社のSEP International Netherlandsを通じて出資している四国電力は、持分法による投資損失として103億円、債務保証損失引当金として85億円を、いずれも営業外費用に計上。